高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律〈高齢者虐待防 止法〉で保護された高齢者が入所する社会福祉施設はどれか。
公式正答:3
解説
高齢者虐待防止法で保護された高齢者が入所する社会福祉施設を問う。特別養護老人ホームである。
この問題で問われていること
虐待からの分離という場面で、どの施設が制度上の受け皿になるかを把握しているか。
しくみから理解する
高齢者虐待防止法では、虐待により生命または身体に重大な危険が生じているおそれがあるとき、市町村は高齢者を養護者から分離するための措置をとる。この際に用いられるのが老人福祉法に基づく『やむを得ない事由による措置』で、契約によらずに市町村の権限で入所させることができる。その入所先が特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)や養護老人ホームである。契約による入所ができない状況(本人の判断能力が不十分、養護者が同意しない)でも保護を実現できる点が、この制度の要になる。
選択肢ごとの確認
低額な料金で入所できる住まいで、本人との契約による利用が前提となる。やむを得ない事由による措置の受け皿としては位置づけられていない。
民間事業者が運営する住まいで、事業者と本人との契約に基づく。市町村の措置によって入所させる施設ではない。
高齢者住まい法に基づく賃貸住宅で、安否確認と生活相談のサービスが付く。これも契約による住まいであり、措置の受け皿ではない。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
『契約か、措置か』が判別の軸になる。虐待からの緊急の分離では、本人や養護者の同意を待てない、あるいは同意が得られないことがあるため、契約によらない措置が必要になる。老人福祉法に基づく措置施設は特別養護老人ホームと養護老人ホームであり、他の3つはいずれも契約による住まいである。この違いを押さえれば一択になる。
理解を深める
分離後の流れとしては、市町村が事実確認を行い、高齢者の安全を確保したうえで、養護者への支援(介護負担の軽減、相談、サービスの導入)を並行して進める。虐待は加害の意図がない場合も多く、介護の知識や技術の不足、認知症の症状への対応困難、経済的な困窮、社会的な孤立が背景にあることが多い。したがって分離だけで終わらせず、関係を再構築できるかを検討することが法の趣旨になる。面会の制限が必要な場合は、市町村が判断する。看護師が関わる場面としては、入院時に不自然な外傷や栄養不良を発見したとき、訪問時に養護者の疲弊や高齢者の怯えに気づいたときがある。通報は確証がなくても『疑い』の段階で行うことができ、通報したことによって守秘義務違反に問われることはない。緊急性が高ければ、入院という形で一時的に分離することも実務上行われる。
間違えやすい考え方
施設名を問う型で、誤肢がすべて契約による住まいである。措置の受け皿かどうかで切る。
5分で振り返る
①高齢者虐待防止法では市町村が分離のための措置をとる。②根拠は老人福祉法の『やむを得ない事由による措置』で契約によらない。③受け皿は特別養護老人ホーム・養護老人ホーム。④軽費老人ホーム・有料老人ホーム・サ高住は契約による住まい。⑤分離と並行して養護者支援を行う。⑥通報は疑いの段階でよく、守秘義務違反にならない。
1分チェック
- 虐待で分離された高齢者はどこへ入所するか。→ 特別養護老人ホーム(老人福祉法のやむを得ない事由による措置)。
この問題に対応する教材の確認中です。