入院して間もない片麻痺がある患者から「着替えがうまくできない。ひとりでで きるようになりたい」と訴えがあった。 最初に行う看護師の対応で最も適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
入院して間もない片麻痺のある患者から「着替えがうまくできない。ひとりでできるようになりたい」と訴えがあったときの、最初の対応を問う。「着替えるところを見せてください」である。
この問題で問われていること
援助を始める前に、まず何をすべきかという看護過程の順序を理解しているか。
しくみから理解する
援助を計画する前に、その人が今どこまでできて、どこでつまずいているのかを把握する必要がある。片麻痺のある人の更衣では、麻痺側から着て健側から脱ぐという原則があるが、実際の困難は人によって異なる。バランスが保てない、ボタンが留められない、袖に腕を通せない、順序が分からない、疲労が強い、といった異なる原因があり、それぞれ対応が変わる。実際の動作を見ることで、残存能力、危険な場面、必要な工夫が具体的に分かる。したがって最初に行うのは観察によるアセスメントである。
選択肢ごとの確認
方針としては間違いではないが、何をどう練習するのかが決まっていない段階では意味を持たない。原因を把握しないままの反復は、誤った方法を固定させたり、失敗体験を重ねて意欲を損なったりする危険がある。
支援の姿勢としては温かいが、患者は『ひとりでできるようになりたい』と自立を望んでいる。援助を先に申し出ると、その希望に応えないことになる。どこを手伝うべきかも、観察しなければ決められない。
情報提供は有用だが、その人の状態に合っているかを確認しないまま渡すのは順序が逆である。一般的な方法がその人に適さないこともある。
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混同しやすいポイント
『最初に行う』という問いでは、看護過程の順序に従ってアセスメントが答えになることが多い。ただし機械的にそう決めるのではなく、なぜ観察が必要なのかを説明できることが大切である。この設問では、患者が自立を望んでいるという情報が加わっているため、援助を申し出る選択肢2が二重に外れることになる。患者の希望を確認したうえで、それに沿った支援を組み立てる。
理解を深める
片麻痺のある人の更衣の原則は、脱健着患(脱ぐときは健側から、着るときは患側から)である。座位が安定していること、環境が整っていること(衣類を手の届く位置に、鏡、椅子の高さ)、衣類の選択(かぶりよりも前開き、大きめのボタンやマジックテープ、伸縮性のある素材)が、自立の可否を大きく左右する。自助具(ボタンエイド、ソックスエイド、リーチャー)も有効である。看護師は、できない部分を代わりに行うのではなく、できる部分を活かし、環境と方法を工夫することで自立を支える。この考え方はセルフケア理論(オレム)でいう一部代償システムにあたり、その人の力に応じて援助の量を調整していく。作業療法士と連携して評価と訓練を進めることも重要である。時間はかかるが、自分でできたという経験が、リハビリテーション全体への意欲につながる。
間違えやすい考え方
『最初に行う対応』を問う型で、誤肢がいずれも後の段階では適切な対応である。順序で切る。
5分で振り返る
①援助の前にアセスメント(実際にやってみてもらって観察する)。②片麻痺の更衣は脱健着患(脱ぐは健側から、着るは患側から)。③困難の原因は人により違う(バランス・巧緻性・順序・疲労)。④患者が自立を望んでいるなら、代行を先に申し出ない。⑤環境と衣類の工夫、自助具の活用。⑥できる部分を活かして援助量を調整する。
1分チェック
- 自立を望む患者への最初の対応は。→ 実際の動作を見て、どこでつまずいているかを把握する。
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