うっ血乳頭が出現するのはどれか。
公式正答:4
解説
うっ血乳頭が出現するものを問う。頭蓋内圧亢進である。
この問題で問われていること
所見の成り立ちを、解剖学的な連続性から説明できるか。
しくみから理解する
視神経は、脳を包む硬膜、くも膜、軟膜がそのまま延びた鞘に包まれており、そのくも膜下腔は頭蓋内のくも膜下腔と連続している。頭蓋内圧が上昇すると、その圧が視神経鞘のくも膜下腔にも伝わり、視神経を外側から圧迫する。その結果、視神経内の軸索輸送と静脈還流が妨げられ、視神経乳頭が腫脹して境界が不明瞭になり、隆起する。これがうっ血乳頭(乳頭浮腫)で、眼底検査で観察できる。頭蓋内圧亢進を非侵襲的に示す重要な他覚所見であり、脳腫瘍、脳出血、水頭症、髄膜炎、特発性頭蓋内圧亢進症などでみられる。
選択肢ごとの確認
口腔内の癌であり、視神経乳頭に影響しない。頸部リンパ節転移をきたすが、頭蓋内圧の上昇とは結びつかない。
高度の貧血では網膜出血や綿花様白斑がみられることがあるが、うっ血乳頭の典型的な原因ではない。眼底所見が問われる疾患としては、高血圧と糖尿病が代表的である。
門脈系のうっ血であり、食道・胃静脈瘤、腹壁静脈の怒張(メデューサの頭)、脾腫、腹水を生じる。『うっ血』『圧亢進』という語が共通するため紛らわしいが、循環系が全く異なる。頭蓋内とはつながっていない。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
選択肢3が語の類似による誤肢である。『うっ血』と『圧亢進』が重なるが、門脈圧亢進は腹部の静脈系の問題であって、視神経乳頭とは無関係である。語の重なりではなく、解剖学的につながっているかどうかで判断する。視神経鞘のくも膜下腔が頭蓋内と連続しているという事実が、この所見の根拠になる。
理解を深める
頭蓋内圧亢進の三徴は、頭痛、嘔吐、うっ血乳頭である。頭痛は早朝に強く(夜間の臥位と換気低下によりさらに圧が上がるため)、嘔吐は悪心を伴わない噴出性のことがある。進行するとクッシング現象(血圧上昇と徐脈、呼吸の異常)が現れ、これは脳ヘルニアが切迫した危険な徴候になる。意識レベルの低下、瞳孔不同、対光反射の消失も同様である。看護では、頭部を15〜30度挙上して静脈還流を促し、頸部の屈曲や過度の回旋を避け、怒責・咳嗽・吸引による一時的な圧上昇を最小限にし、静かな環境を保つ。血圧、脈拍、呼吸、意識レベル、瞳孔を経時的に観察する。なお頭蓋内圧亢進が疑われるときに腰椎穿刺を行うと、圧の勾配により脳ヘルニアを招くため禁忌である。うっ血乳頭は視力そのものは長く保たれるが、放置すれば視神経萎縮に至り不可逆な視力障害を残す。
間違えやすい考え方
所見の原因を問う型で、誤肢に語が似ているだけの別系統(門脈圧亢進)が置かれている。解剖学的な連続性で切る。
5分で振り返る
①視神経鞘のくも膜下腔は頭蓋内と連続している。②頭蓋内圧亢進で視神経が圧迫され乳頭が腫脹する。③頭蓋内圧亢進の三徴=頭痛・嘔吐・うっ血乳頭。④頭痛は早朝に強く、嘔吐は噴出性のことがある。⑤クッシング現象(血圧上昇+徐脈)は脳ヘルニア切迫の徴候。⑥頭蓋内圧亢進時の腰椎穿刺は禁忌。⑦門脈圧亢進は腹部の静脈系で無関係。
1分チェック
- うっ血乳頭は何を示すか。→ 頭蓋内圧亢進(視神経鞘のくも膜下腔が頭蓋内と連続しているため)。
この問題に対応する教材の確認中です。