シリンジポンプを使用する際に生じるサイフォニング現象の原因はどれか。
公式正答:4
解説
シリンジポンプを使用する際に生じるサイフォニング現象の原因を問う。刺入部とシリンジに高低差があることである。
この問題で問われていること
物理的な現象として、何が薬液を落とすのかを説明できるか。
しくみから理解する
サイフォニング現象は、シリンジポンプが患者の刺入部より高い位置に置かれたときに、重力(落差による陰圧の吸引)によって、ポンプの設定速度を超えて薬液が急速に注入される現象である。サイフォン(吸い上げ管)と同じ原理で、いったん流れが生じると落差の分だけ薬液が引かれ続ける。とくにシリンジの押し子(プランジャー)がスライダーに正しく固定されていない場合、押し子が引かれて大量の薬液が一気に流れ込む。カテコールアミンや鎮静薬など、微量で強力に作用する薬剤を扱うシリンジポンプでは、これが致命的な事故につながる。予防は、ポンプを刺入部と同じ高さ(おおむね心臓の高さ)に設置し、押し子とクランプを確実に固定することである。
選択肢ごとの確認
バッテリー残量の低下は、電源が切れて注入が停止する原因になる。流量が過剰になるサイフォニング現象とは逆の事象である。移動時や停電時に備えて残量を確認し、可能なときは外部電源に接続しておく。
逆流は、ラインの閉塞、接続部の緩み、ポンプ停止時の圧の関係で生じる。閉塞のアラームや、注入の不足につながるが、サイフォニング現象の原因ではない。
空気の混入は空気塞栓の危険につながる重大な問題だが、サイフォニング現象の原因ではない。ラインのプライミングと気泡の除去は別の管理項目である。
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混同しやすいポイント
『高低差』という一語で答えが決まる。サイフォンという言葉自体が、高低差を利用して液体を移す仕組みを指すため、語の意味を知っていれば導ける。逆に、シリンジポンプが刺入部より低い位置にあると、注入が妨げられて流量が不足する(この場合も高低差が問題になる)。どちらの向きでも高低差は避けるべきで、同じ高さに置くことが原則になる。
理解を深める
シリンジポンプの管理では、ほかに『始動遅れ(スタートアップディレイ)』も重要である。シリンジ内筒とポンプの押し子の間に隙間があると、開始直後の数分から数十分にわたり実際には薬液が送られないことがある。微量で作用の強い薬剤では、この間に血圧が低下しうる。開始前に押し子の隙間をなくす操作を行う。また、シリンジやラインの交換時には、一時的に薬効が途切れるため、循環動態の変動に備える。閉塞アラームが鳴った際に、閉塞を解除するとラインに溜まっていた圧が一気に解放されてボーラス投与になることがあるため、解除前にラインの圧を逃がす。複数のシリンジポンプを使用する場合は、どのラインにどの薬剤が流れているかを明示し、three-way(三方活栓)の操作時に他の薬剤が急速注入されないよう注意する。これらはいずれも、微量で強力な薬剤を扱うがゆえの管理であり、機器の操作手順としてではなく、患者に何が起こるかとして理解する必要がある。
間違えやすい考え方
現象の原因を問う型で、誤肢が別の機器トラブルで構成されている。語の意味(サイフォン=高低差)で切る。
5分で振り返る
①サイフォニング現象=落差により設定速度を超えて薬液が急速注入される。②予防は刺入部と同じ高さに設置し、押し子とクランプを確実に固定する。③押し子の固定不良で一気に流入する。④始動遅れ(スタートアップディレイ)にも注意。⑤閉塞解除時のボーラス投与に注意。⑥バッテリー切れは逆に注入停止を招く。
1分チェック
- サイフォニング現象の原因は。→ シリンジポンプと刺入部の高低差(ポンプが高い位置にある)。
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