糖尿病〈diabetes mellitus〉の在宅療養者に行うフットケアの説明で適切なのはどれか。
公式正答:2
解説
糖尿病の在宅療養者に行うフットケアの説明で適切なものを問う。「足の皮膚を保湿してください」である。
この問題で問われていること
神経障害と血流障害という二つの背景から、必要なケアを導けるか。
しくみから理解する
糖尿病では、末梢神経障害により発汗が減少して皮膚が乾燥し、亀裂が生じやすくなる。亀裂は感染の入り口になり、そこから潰瘍や壊疽へ進む。加えて知覚が鈍いため、傷ができても痛みを感じず発見が遅れる。さらに血流障害があると治癒しにくい。したがって、皮膚を保湿して亀裂を防ぐことが、感染と潰瘍を防ぐ基本的なケアになる。保湿剤は、足全体に塗るが、指の間は蒸れて白癬や浸軟を招くため塗らない、という点も指導する。
選択肢ごとの確認
逆である。知覚が鈍いため、踏んだ物や小さな傷に気づけない。屋内でも靴下を履き、履物を使用する。靴を履く前には中に異物がないか手で確認する習慣も指導する。
熱すぎる。温度感覚が鈍いため、本人が熱いと感じなくても熱傷を負う。足浴は37〜39℃程度のぬるま湯とし、必ず湯温計で測るか、手や肘など感覚の保たれた部位で確認する。同じ理由で、湯たんぽ、電気毛布、カイロ、こたつでの低温熱傷にも注意が要る。
深爪は巻き爪や陥入爪を招き、そこから感染する。爪は指の先端と同じ長さで、角を落とさずまっすぐに切る(スクエアカット)。厚く硬い爪や視力・手指の巧緻性に問題がある場合は、自分で切らず医療者に依頼する。
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混同しやすいポイント
3つの誤肢がいずれも『感覚が鈍い』ことへの配慮を欠いている点で共通している。糖尿病足病変の予防は、この一点から導ける。熱い、痛い、硬いといった警告信号が届かない人が、どうすれば傷を負わずに済むかを考える。温度は測る、素足では歩かない、深爪しない、毎日目で見て確認する(見えなければ鏡や家族の協力を得る)、が具体的な行動になる。
理解を深める
糖尿病足病変は、下肢切断の主要な原因であり、いったん潰瘍を生じると生活の質と生命予後に大きく影響する。予防のためのフットケアは、毎日の観察(足底、指の間、踵を含めて全周)、洗浄と保湿、爪の手入れ、適切な履物の選択(つま先に余裕がある、縫い目が当たらない、新しい靴は短時間から慣らす)、胼胝や鶏眼の自己処置を避けること(市販の角質除去剤や刃物での処置は禁物)から成る。異常を見つけたら早めに受診する目安(赤み、腫れ、熱感、水疱、色の変化、においのある浸出液)を具体的に伝える。血流の評価としては、足背動脈と後脛骨動脈の触知、足関節上腕血圧比(ABI)を用いる。神経障害の評価には、モノフィラメントによる触覚検査、音叉による振動覚、アキレス腱反射がある。看護師が診察のたびに靴下を脱いでもらって足を見る、という習慣そのものが、早期発見の仕組みになる。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢がすべて『感覚が鈍い』ことへの配慮を欠いている。神経障害という背景から導く。
5分で振り返る
①神経障害で発汗が減り乾燥・亀裂→感染の入り口になる。②保湿剤は足全体に、ただし指の間は塗らない。③足浴は37〜39℃、必ず湯温計で測る(温度感覚が鈍い)。④素足で過ごさない、靴の中を手で確認。⑤爪は指先と同じ長さでまっすぐ(スクエアカット)、深爪しない。⑥胼胝・鶏眼の自己処置は避ける。⑦毎日全周を目で見て確認する。
1分チェック
- 糖尿病のフットケアで最も基本になるのは。→ 皮膚の保湿(乾燥と亀裂を防ぎ、感染の入り口をつくらない)。
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