成人の心肺蘇生法における圧迫部位を図に示す。 正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
成人の心肺蘇生法における圧迫部位を図から選ぶ問題である。公式正答は④にあたる部位である。
この問題で問われていること
胸骨圧迫の部位と、その根拠を説明できるか。
しくみから理解する
胸骨圧迫の部位は、胸骨の下半分である。現行の蘇生の指針は「胸の中央、胸骨の下半分」と定めている。両乳頭を結ぶ線を目安とする言い方もあるが、この線の位置は体格、性別、年齢によって変わり、実際の部位より下方(剣状突起寄り)を指すことが報告されているため、規則としては用いない。この部位を選ぶ理由は、その直下に心臓(とくに左心室)があり、胸骨と脊椎の間で心臓を圧迫して血液を送り出せるためである。同時に、胸腔内圧を上げることによる血流の駆出も起こる。圧迫が高すぎると効果が乏しく、低すぎる(剣状突起の位置)と、肝臓の損傷や胃内容の逆流を招く危険がある。左右にずれると肋骨の骨折を起こしやすい。
選択肢ごとの確認
①の部位(図中の別の位置)は、標準的な圧迫部位ではない。
②の部位も標準的な圧迫部位ではない。
③の部位も標準的な圧迫部位ではない。剣状突起の上を圧迫すると、肝損傷や胃内容の逆流による誤嚥の危険がある。
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混同しやすいポイント
『心臓がどこにあるか』から導ける。心臓は胸骨のすぐ後ろ、やや左寄りに位置し、胸骨の下半分がその上に重なる。ここを圧迫すれば、胸骨と脊椎の間で心臓を挟んで血液を押し出せる。解剖の理解が、手技の根拠になる。
理解を深める
成人の一次救命処置の要点を整理する。反応の確認、応援の要請と119番通報、自動体外式除細動器の手配、呼吸の確認(10秒以内、正常な呼吸がなければ心停止と判断する。死戦期呼吸を正常な呼吸と誤らない)、胸骨圧迫の開始。圧迫は、胸骨の下半分を、深さ約5cm(6cmを超えない)、1分間に100〜120回のテンポで、絶え間なく行い、圧迫の解除時には胸を完全に元の位置まで戻す(完全な胸壁の戻り)。中断は最小限にし、交代は1〜2分ごとを目安にする。人工呼吸ができる場合は30対2の比で行うが、できない場合や訓練を受けていない場合は胸骨圧迫のみでよい。自動体外式除細動器が届いたら、電源を入れ、音声指示に従って電極パッドを貼り、解析中は傷病者に触れず、電気ショックの指示があれば周囲の安全を確認して実施し、直ちに胸骨圧迫を再開する。乳児では2本指または胸郭包み込み両母指圧迫法で、胸の厚みの約3分の1を圧迫する。
間違えやすい考え方
図から部位を選ぶ型で、心臓の解剖学的な位置から導ける。
5分で振り返る
①胸骨圧迫の部位は胸の中央、胸骨の下半分(両乳頭を結ぶ線は体格で位置が変わり、実際より下方を指すことがあるため目安にしない)。②直下に心臓があり、胸骨と脊椎の間で挟んで血液を送り出す。③剣状突起の位置では肝損傷と胃内容の逆流を招く。④深さ約5cm(6cmを超えない)、1分間に100〜120回。⑤圧迫解除時は胸を完全に戻す。⑥中断は最小限、交代は1〜2分ごと。⑦人工呼吸ができなければ胸骨圧迫のみでよい。
1分チェック
- 胸骨圧迫はどこを押すか。→ 胸骨の下半分(胸の真ん中、両乳頭を結ぶ線のあたり)。
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