高次脳機能障害のある患者が買い物に行った際に示す行動で失行はどれか。
公式正答:2
解説
高次脳機能障害のある患者が買い物に行った際に示す行動で、失行にあたるものを問う。買い物かごの使い方が分からないことである。
この問題で問われていること
高次脳機能障害の各症状を、生活場面の行動として区別できるか。
しくみから理解する
失行は、運動麻痺や感覚障害、理解の障害がないにもかかわらず、目的に沿った動作ができなくなる状態である。道具の使い方が分からない(観念失行)、動作を模倣できない、順序立てて実行できないといった形で現れる。買い物かごの使い方が分からないという行動は、かごが何であるか知っており、手も動くのに、それを使う動作が組み立てられないという状態であり、失行にあたる。日常生活では、歯ブラシで髪をとかす、服の袖に足を通す、箸を握れても使えない、といった形で気づかれる。
選択肢ごとの確認
記憶障害である。新しい情報を覚えられない(前向健忘)、直前のことを保持できないという形で現れ、高次脳機能障害の代表的な症状の一つである。動作の障害ではない。
遂行機能障害(実行機能障害)である。目標を立て、計画し、順序立てて実行し、状況に応じて修正するという一連の働きが障害される。段取りができない、複数のことを並行して処理できない、という形で現れる。
地誌的障害(地誌的失見当)である。よく知っているはずの場所で道が分からなくなる。空間の認知に関わる障害で、失行とは別である。
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混同しやすいポイント
高次脳機能障害の症状を、生活場面の行動に翻訳して区別する。記憶障害=覚えられない。注意障害=集中が続かない、複数のことに気を配れない。遂行機能障害=段取りが立てられない。失行=動作が組み立てられない、道具が使えない。失認=見えているのに何か分からない。社会的行動障害=感情の制御が難しい、意欲が低下する。半側空間無視=片側を見落とす。それぞれ『できないこと』の中身が違う。
理解を深める
高次脳機能障害は、外見からは分かりにくく、本人にも自覚が乏しいこと(病識の低下)があるため、『怠けている』『性格が変わった』と誤解されやすい。この誤解が、家族の負担と本人の孤立を深める。支援では、まず何がどう障害されているかを評価し、その人に合った代償手段を用意する。記憶障害にはメモ、スマートフォンのリマインダー、手順書。遂行機能障害には手順を分解した表、一度に一つの課題。注意障害には静かな環境、短い時間で区切る。失行には、言葉での指示より実際に手を添えて動作を導く方法が有効なことがある。就労や運転の再開は慎重な評価を要する。制度としては、精神障害者保健福祉手帳の対象となり、障害福祉サービス、自立訓練(機能訓練・生活訓練)、就労移行支援が使える。家族会や支援拠点機関の情報提供も重要になる。
間違えやすい考え方
症状名を問う型で、誤肢がすべて高次脳機能障害の別の症状である。『できないことの中身』で切る。
5分で振り返る
①失行=麻痺や理解の障害がないのに動作が組み立てられない、道具が使えない。②記憶障害=覚えられない。③遂行機能障害=段取りが立てられない。④地誌的障害=知っている場所で道に迷う。⑤失認=見えているのに何か分からない。⑥外見から分かりにくく病識も乏しいため誤解されやすい。⑦支援は評価に基づく代償手段(メモ、手順書、環境調整)。
1分チェック
- 失行とは何か。→ 麻痺も理解の障害もないのに、目的に沿った動作ができない(道具が使えない)。
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