臨死期にある患者に出現する呼吸の変化で正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
臨死期にある患者に出現する呼吸の変化で正しいものを問う。Cheyne-Stokes呼吸である。
この問題で問われていること
異常呼吸のパターンを、機序と出現する場面で区別できるか。
しくみから理解する
Cheyne-Stokes〈チェーン-ストークス〉呼吸は、無呼吸から始まり、次第に深く大きくなり、頂点を過ぎると次第に浅く小さくなって再び無呼吸に至る、という周期を繰り返す呼吸である。臨死期には、脳の呼吸中枢の機能が低下し、二酸化炭素に対する反応が鈍くなり遅れて過剰になるため、この周期性が生じる。心不全や脳血管障害でもみられる。臨死期にはほかに、下顎呼吸(下顎を動かして空気を取り込もうとする呼吸で、死が近いことを示す)、死前喘鳴(分泌物が咽頭に貯留してゴロゴロと鳴る)も現れる。
選択肢ごとの確認
呼吸の深さが増した状態で、過換気症候群、代謝性アシドーシスの代償、発熱、疼痛、不安などで生じる。臨死期に特徴的な呼吸ではない。
吸気時に胸壁の一部が陥凹する(あるいは胸部と腹部が逆方向に動く)呼吸で、フレイルチェスト(多発肋骨骨折)、上気道閉塞、横隔膜の麻痺でみられる。臨死期に特有のものではない。
深く速い規則的な呼吸で、糖尿病性ケトアシドーシスや尿毒症など、代謝性アシドーシスの代償として現れる。二酸化炭素を多く排出して血液のpHを上げようとする反応であり、機序が異なる。
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混同しやすいポイント
異常呼吸を、周期性の有無と深さで整理する。Cheyne-Stokes呼吸=無呼吸を挟む漸増漸減の周期。Biot呼吸=深さが不規則で突然無呼吸になる(延髄の障害、髄膜炎)。Kussmaul呼吸=深く速い規則的な呼吸(代謝性アシドーシス)。この3つは名前が並んで問われやすいため、図を描いて形で覚えるとよい。
理解を深める
臨死期の看護では、呼吸の変化そのものを治療の対象とせず、患者の安楽と、家族への説明を中心に考える。Cheyne-Stokes呼吸や下顎呼吸を目にした家族は、苦しんでいるのではないかと強い不安を抱く。しかし意識レベルが低下した状態でのこれらの呼吸は、本人の苦痛を必ずしも意味しないことを、丁寧に説明する。死前喘鳴に対しては、体位の工夫(側臥位、顔を横に向ける)、口腔内の分泌物の除去、必要に応じて抗コリン薬を用いるが、深い吸引はかえって苦痛を与えるため慎重に判断する。酸素投与も、苦痛の緩和に役立つ場合に行い、数値を改善するために行うものではない。家族には、聴覚は最後まで保たれる可能性があるとされることを伝え、声をかけ、手を握ることを勧める。この説明の根拠は、反応のない終末期の患者の一部で聴覚に対する脳の反応が保たれていたという小規模な報告にとどまり、意識を伴って聞こえているかどうかや、感覚が失われる順序が定まっていることまでは示されていない。断定はせず、可能性として伝える。看取りの場に立ち会う家族が、後で『あれでよかった』と思えるように支えることも、臨死期の看護の重要な部分になる。
間違えやすい考え方
呼吸のパターンを問う型で、誤肢が別の病態でみられる呼吸で構成されている。周期性と機序で切る。
5分で振り返る
①Cheyne-Stokes〈チェーン-ストークス〉呼吸=無呼吸から漸増し漸減してまた無呼吸になる周期。臨死期、心不全、脳血管障害。②下顎呼吸は死が近い徴候。③死前喘鳴は分泌物の貯留、深い吸引は避ける。④Kussmaul呼吸=深く速い規則的な呼吸、代謝性アシドーシス。⑤Biot呼吸=不規則で突然無呼吸、延髄の障害。⑥家族には、これらの呼吸が必ずしも苦痛を意味しないことを説明する。聴覚は最後まで保たれる可能性があるとされ、声をかけ手を握ることを勧めてよいが、意識を伴って聞こえているかどうかは分かっていない。
1分チェック
- 臨死期に特徴的な呼吸は。→ Cheyne-Stokes〈チェーン-ストークス〉呼吸(無呼吸を挟む漸増漸減の周期)、下顎呼吸。
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