超音波ガイド下で肝生検を受ける成人への説明で正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
超音波ガイド下で肝生検を受ける成人への説明で正しいものを問う。「検査中は指示に合わせて息を止めてください」である。
この問題で問われていること
手技の性質から、患者に協力を求める内容を導けるか。
しくみから理解する
肝臓は横隔膜の直下にあり、呼吸に伴って上下に大きく動く。針を刺す瞬間に肝臓が動くと、目標の位置を外すだけでなく、針が肝実質を裂いて出血や胆汁の漏出を招く。そのため、穿刺の瞬間は呼気の途中で息を止めてもらう。検査前に実際に呼吸を止める練習をしておくと、本番でうまく協力できる。超音波で位置を確認しながら行うことで、血管や胆管を避けて安全性を高めている。
選択肢ごとの確認
絶食とする。食事により胆嚢が収縮し、また消化管にガスが生じると超音波での描出が悪くなる。加えて、鎮静や合併症への対応の可能性を考えても、絶食が原則になる。
仰臥位(あるいは左側臥位気味)で行う。右季肋部または肋間から穿刺するため、右手を頭側に挙げて肋間を広げる姿勢をとることが多い。うつぶせでは肝臓に到達できない。
検査後は安静を要する。肝臓は血流が非常に豊富な臓器で、出血が最も重要な合併症になる。穿刺部を圧迫し、右側臥位で数時間安静を保ち(穿刺部を下にして体重で圧迫する目的)、バイタルサインと腹痛、腹部膨満を観察する。安静時間は施設により異なるが、数時間から一晩となる。
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混同しやすいポイント
『動くと危ない臓器に針を刺す』という一点から、多くのことが導ける。息を止める(動きを止める)、検査後は安静(出血を防ぐ)、絶食(描出を良くし、対応に備える)。手技の性質を考えれば、暗記に頼らず判断できる。逆に、うつぶせという体位は解剖学的に成り立たないことがすぐ分かる。
理解を深める
肝生検の合併症は、出血(腹腔内出血、被膜下血腫)、胆汁性腹膜炎、気胸(右肺の下端が近いため)、他臓器の損傷、疼痛(右肩への放散痛が生じることがある。横隔膜刺激による関連痛)である。検査前には、出血傾向の評価(血小板数、プロトロンビン時間)、抗凝固薬・抗血小板薬の休薬、腹水の有無(大量の腹水があると穿刺経路が不安定になる)を確認する。検査後の観察では、血圧低下、頻脈、冷汗、腹痛の増強が腹腔内出血を示唆する所見になる。近年は、肝線維化の評価に超音波エラストグラフィなどの非侵襲的な方法も用いられるようになったが、確定診断や病型の判定には組織診断が必要な場面が残る。看護では、検査の目的と手順を説明し、呼吸の練習を一緒に行い、検査中は声をかけて不安を和らげ、検査後は観察と安静の説明を行う。
間違えやすい考え方
『正しいのはどれか』型で、誤肢が絶食の否定、体位の誤り、安静の否定で構成されている。手技の性質から導く。
5分で振り返る
①肝臓は横隔膜の直下で呼吸により動くため、穿刺時は息を止める(事前に練習する)。②体位は仰臥位で右手を頭側に挙げ肋間を広げる。③検査前は絶食。④検査後は穿刺部を圧迫し右側臥位で数時間安静。⑤最大の合併症は出血、ほかに胆汁性腹膜炎・気胸。⑥検査前に血小板数とプロトロンビン時間、抗凝固薬の休薬を確認。⑦血圧低下・頻脈・腹痛の増強は腹腔内出血を疑う。
1分チェック
- 肝生検で患者に協力してもらうことは。→ 穿刺の瞬間に息を止めること(肝臓は呼吸で動くため)。
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