散瞳薬を用いた眼底検査を受ける成人への説明で適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
散瞳薬を用いた眼底検査を受ける成人への説明で適切なものを問う。「点眼後30分で散瞳薬の効果が現れます」である。
この問題で問われていること
薬剤の作用時間と、検査で見る部位を正確に把握しているか。
しくみから理解する
散瞳薬(トロピカミドなど)は、点眼後おおむね15〜30分で瞳孔が開き、眼底の広い範囲を観察できるようになる。効果は数時間(多くは4〜6時間、薬剤によってはそれ以上)持続し、その間は瞳孔が開いたままになるため、光がまぶしく、近くのものに焦点が合わせにくくなる。したがって検査後は、車やバイク、自転車の運転を避けるよう説明する必要がある。付き添いの有無や帰宅方法を事前に確認しておくことが実際的な配慮になる。
選択肢ごとの確認
眼底検査で観察するのは眼球の後ろ側、すなわち網膜、視神経乳頭、黄斑、網膜血管である。角膜は眼球の最前面にあり、細隙灯顕微鏡(スリットランプ)で観察する。散瞳は不要である。
必要ない。侵襲のない検査であり、感染の予防のための点眼は行わない。散瞳薬の効果は時間の経過とともに自然に消退する。
通常の歩行での誘導でよい。散瞳によりまぶしさは感じるが、視力が失われるわけではない。眼を閉じさせて誘導すればかえって転倒の危険が高まる。まぶしさが強い場合は、サングラスや帽子の使用を勧める。
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混同しやすいポイント
誤肢はいずれも『検査の性質を取り違えた過剰な対応』である。眼底検査は非侵襲的で、瞳孔を開いて奥を見るだけの検査であり、消毒も感染対策も特別な誘導も要らない。必要なのは、効果が出るまでの時間と、効果が続く間の生活上の注意である。散瞳薬の効果は『すぐには出ない』『しばらく続く』という二つの時間の説明が要点になる。
理解を深める
散瞳には禁忌がある。閉塞隅角緑内障、あるいは隅角が狭い眼では、散瞳により隅角がさらに閉塞して房水の流出が妨げられ、急性緑内障発作を起こす危険がある。発作では、急激な眼痛、頭痛、悪心・嘔吐、視力低下、充血が生じ、緊急の治療を要する。悪心・嘔吐が前面に出ると消化器疾患と誤られることがあるため、眼の症状を併せて確認する。したがって検査前には緑内障の既往を確認する。眼底検査は、眼疾患だけでなく全身疾患の評価にも用いられる。糖尿病網膜症では、毛細血管瘤、点状出血、硬性白斑、新生血管が段階的に現れ、定期的な眼底検査が失明の予防に直結する。高血圧では細動脈の狭細化や交叉現象、頭蓋内圧亢進ではうっ血乳頭が観察される。看護師は、糖尿病の患者に対して、自覚症状がなくても定期的に眼科を受診する必要があることを繰り返し伝える役割を持つ。網膜症は進行するまで自覚症状が出ないためである。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢が観察部位の誤りと過剰な対応で構成されている。検査の性質と薬剤の時間で切る。
5分で振り返る
①散瞳薬は点眼後15〜30分で効果が現れ、数時間持続する。②その間はまぶしく、近くに焦点が合わない→運転は避ける。③眼底検査で見るのは網膜・視神経乳頭・黄斑・網膜血管。④角膜は細隙灯顕微鏡で観察、散瞳は不要。⑤閉塞隅角緑内障では散瞳が急性発作を招くため既往を確認。⑥糖尿病網膜症は自覚症状が出る前に進行するので定期受診が要る。
1分チェック
- 散瞳薬はいつ効いていつまで続くか。→ 点眼後15〜30分で散瞳し、数時間持続する(その間は運転を避ける)。
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