梅毒〈syphilis〉について正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
梅毒について正しいものを問う。ばら疹を認めることである。
この問題で問われていること
病原体の種類と、病期ごとの症状を把握しているか。
しくみから理解する
梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌(スピロヘータ)による感染症である。第1期(感染後約3週)では、感染部位に硬結と無痛性の潰瘍(初期硬結、硬性下疳)と、所属リンパ節の腫脹が現れ、放置しても自然に消退する。第2期(感染後約3か月)では、血行性に全身へ広がり、体幹や四肢、手掌・足底に、赤褐色の発疹が多発する。これが梅毒性ばら疹で、痒みがないことが特徴である。手掌と足底に出る発疹は他の疾患では少なく、診断の手がかりになる。この時期の症状も自然に消退するため、治癒したと誤解されやすい。
選択肢ごとの確認
梅毒のワクチンは存在しない。予防は、コンドームの使用(ただし接触部位によっては完全に防げない)、感染が疑われる場合の早期の検査と治療、パートナーの同時治療による。
必要である。性感染症では、本人だけを治療してもパートナーが感染していれば再感染を繰り返す(ピンポン感染)。パートナーの検査と治療を同時に行うことが原則になる。また梅毒は届出が必要な五類感染症であり、診断した医師は7日以内に届け出る。
細菌(スピロヘータの一種である梅毒トレポネーマ)による感染症である。細菌であるためペニシリンが有効で、これが治療の第一選択になる。ウイルスと誤解すると、治療の考え方が根本から変わってしまう。
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混同しやすいポイント
『細菌である=ペニシリンが効く』という点が、治療の理解につながる。梅毒は、有効な治療法があるにもかかわらず、症状が自然に消えるために放置され、進行するという特徴を持つ。近年、日本では報告数が大きく増加しており、とくに若年女性での増加と、それに伴う先天梅毒の増加が問題になっている。看護の場面でも遭遇する機会が増えている。
理解を深める
第3期以降(感染後数年)ではゴム腫(皮膚や骨などの肉芽腫性病変)、心血管梅毒(大動脈瘤、大動脈弁閉鎖不全)、神経梅毒(進行麻痺、脊髄癆)が生じうる。診断は、非トレポネーマ検査(RPR)とトレポネーマ検査(TPHA、FTA-ABS)を組み合わせて行う。RPRは治療効果の判定に用いられ、治療により低下する。妊婦の梅毒は胎盤を介して胎児に感染し、先天梅毒を起こす。流産、死産、早産のほか、出生後に骨軟骨炎、肝脾腫、発疹、鼻閉、後に実質性角膜炎、内耳性難聴、ハッチンソン歯といった症状が現れる。妊婦健康診査で梅毒血清反応の検査が行われるのはこのためで、早期に治療すれば先天梅毒を防げる。看護では、性感染症に伴う羞恥心や自責感に配慮し、責める姿勢を取らずに、検査と治療、パートナーへの通知を支援する。プライバシーへの配慮は、受診と治療の継続に直結する。
間違えやすい考え方
『正しいのはどれか』型で、誤肢が予防法、パートナーへの対応、病原体の種類の誤りで構成されている。細菌であることと病期の症状で切る。
5分で振り返る
①梅毒は細菌(梅毒トレポネーマ)による感染症でペニシリンが第一選択。②第1期=無痛性の硬性下疳とリンパ節腫脹。③第2期=ばら疹(手掌足底にも出る、痒みなし)。④症状が自然に消えるため放置されやすい。⑤ワクチンはない、パートナーの検査と治療が必須。⑥五類感染症で7日以内に届出。⑦妊婦から胎児へ移行し先天梅毒を起こす(妊婦健診で検査)。
1分チェック
- 梅毒の第2期に出る特徴的な発疹は。→ ばら疹(体幹・四肢・手掌足底に、痒みのない赤褐色の発疹)。
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