高齢者の看護におけるストレングスモデルの説明で適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
高齢者の看護におけるストレングスモデルの説明で適切なものを問う。健康課題の解決に向けて自分の能力を活かせるよう支援することである。
この問題で問われていること
支援の考え方を、他の類似概念と区別できるか。
しくみから理解する
ストレングスモデルは、その人の欠けているところや問題ではなく、持っている力(強み)に着目する支援の考え方である。強みには、本人の能力、才能、技能、意欲、経験だけでなく、これまで培ってきた関係、環境にある資源も含まれる。高齢者は、疾患や機能の低下という『できないこと』で語られやすいが、長い人生で得た知識、対処の経験、役割、人とのつながりを持っている。それらを健康課題の解決に活かせるように支えるのが、この考え方に沿った看護になる。
選択肢ごとの確認
意思決定支援、あるいは自己決定の支援の説明である。重要な考え方であり、ストレングスモデルと重なる部分もあるが、焦点が『決めること』にあり、『強みを活かすこと』ではない。
ヘルスプロモーション、あるいはセルフケア支援の説明である。目標が『健康的な生活』であって、強みへの着目という視点が含まれていない。
自己効力感(セルフエフィカシー)を高める支援の説明である。バンデューラの概念で、成功体験、代理経験、言語的説得、生理的・情動的状態の4つが自己効力感の源になるとされる。強みに着目することは自己効力感を高めることにつながるが、概念としては別である。
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混同しやすいポイント
4つの選択肢はいずれも看護で重視される考え方であり、『間違い』が一つもない。判別は、それぞれの概念の焦点がどこにあるかで行う。ストレングスモデル=強みに着目する。意思決定支援=本人が決められるようにする。ヘルスプロモーション=健康的な生活を目指す。自己効力感=できるという自信を高める。設問の文言のうち『自分の能力を活かせるよう』が、強みへの着目を指している。
理解を深める
ストレングスモデルは、もともと精神障害のある人への地域生活支援の分野で発展した考え方で、ラップとゴスチャによって体系化された。原則として、対象者は回復し成長できる、焦点は病理ではなく強みに置く、地域は資源の宝庫である、支援関係は基本かつ本質である、本人が支援過程の監督者である、といった点が挙げられる。高齢者看護に応用する際には、認知症のある人であっても、保たれている力(手続き記憶、感情、社会的な振る舞い、得意だったこと)に着目することで、その人らしい生活を支えられる。実践としては、その人の生活史を聴き、これまで何を大切にし、どう困難を乗り越えてきたかを知ることから始まる。アセスメントの記録が『できないこと』の一覧になっていないかを見直すことも有効である。強みを見つける視点は、支援者自身の関わり方を変え、対象者との関係を変える。
間違えやすい考え方
概念を問う型で、誤肢がすべて別の重要な概念である。焦点がどこにあるかで切る。
5分で振り返る
①ストレングスモデル=欠けているところではなく持っている力に着目する。②強みには能力・経験・関係・環境の資源が含まれる。③精神障害のある人の地域生活支援から発展した(ラップとゴスチャ)。④意思決定支援は『決められるように』、自己効力感は『できるという自信』が焦点。⑤認知症でも保たれている力に着目する。⑥生活史を聴くことから始まる。
1分チェック
- ストレングスモデルとは何か。→ その人の持つ強み(能力・経験・関係・資源)を活かせるよう支援する考え方。
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