A さん(81 歳、男性)は、大腸内視鏡検査を受けることになった。 検査前にA さんへ看護師が確認する項目で最も優先されるのはどれか。
公式正答:4
解説
81歳男性が大腸内視鏡検査を受けるにあたり、検査前に看護師が確認する項目で最も優先されるものを問う。前立腺肥大症の有無である。
この問題で問われていること
前処置に用いる薬剤の禁忌を、高齢男性という条件と結びつけられるか。
しくみから理解する
大腸内視鏡検査の前処置では、腸管洗浄剤による下剤に加え、検査中の蠕動を抑える目的で鎮痙薬が用いられる。標準的に使われるブチルスコポラミンは抗コリン作用を持ち、膀胱の排尿筋を弛緩させ、尿道括約筋の緊張を高めるため、前立腺肥大症のある人では尿閉を起こす危険がある。高齢男性では前立腺肥大症の頻度が高く、81歳という年齢はこの確認を最優先にすべき条件になる。ほかに緑内障(閉塞隅角)と重篤な心疾患(頻脈)も抗コリン薬の禁忌である。該当する場合はグルカゴンなど別の薬剤に変更する。
選択肢ごとの確認
確認は必要だが、優先度は下がる。大腸内視鏡は下部消化管の検査であり、口から挿入する上部内視鏡と異なる。鎮静を行う場合には気道管理の観点から義歯を外すことがあるが、薬剤の禁忌ほど緊急性の高い確認ではない。
抗コリン薬で問題になるのは閉塞隅角緑内障であって、白内障ではない。白内障は水晶体の混濁であり、散瞳や抗コリン作用による悪化は問題にならない。緑内障と白内障の取り違えを問う型である。
検査は左側臥位から始まり、途中で体位を変えることがあるため、関節の可動域や疼痛の確認は必要である。しかし薬剤による重大な有害事象を防ぐ確認のほうが優先される。
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混同しやすいポイント
選択肢2の『白内障』が典型的な引っかけである。抗コリン薬の禁忌は緑内障(それも閉塞隅角)であり、白内障ではない。名前が似ているだけの別の疾患で、機序も全く異なる。抗コリン薬の禁忌は『閉塞隅角緑内障・前立腺肥大による排尿障害のある患者・重篤な心疾患・麻痺性イレウス』と、まとめて覚える。前立腺肥大症そのものではなく、排尿障害を伴う場合が禁忌にあたるため、確認では排尿障害の有無まで尋ねる。高齢者では複数が該当することもある。
理解を深める
大腸内視鏡検査の前処置では、腸管洗浄剤(ポリエチレングリコール製剤など)を1〜2L程度飲む必要があり、高齢者にとって負担が大きい。腸閉塞や高度の狭窄が疑われる場合は、洗浄剤の投与により穿孔を起こす危険があるため禁忌になる。腹痛や嘔吐が出現したら中止して報告するよう説明し、飲用中も様子を確認する。脱水と電解質異常にも注意が要る。検査中は、送気による腹部膨満、疼痛、迷走神経反射による徐脈と血圧低下が起こりうる。鎮静を用いた場合は、呼吸抑制の観察と、覚醒までの安全確保、当日の運転の禁止を説明する。検査後は、腹痛の持続、発熱、下血が穿孔や出血の徴候になる。ポリープを切除した場合は、食事、入浴、運動、旅行、抗凝固薬の再開について具体的な指示を伝える。高齢者では、前処置の負担、検査中の体位保持、鎮静の影響が重なるため、全過程を通じた観察が必要になる。
間違えやすい考え方
『最も優先されるのはどれか』型で、誤肢がいずれも確認自体は必要な項目である。重大な有害事象を防ぐものを選ぶ。
5分で振り返る
①前処置の鎮痙薬(ブチルスコポラミン)は抗コリン作用を持つ。②禁忌は緑内障(閉塞隅角)・前立腺肥大による排尿障害のある患者・重篤な心疾患・麻痺性イレウス。③前立腺肥大による排尿障害がある人では尿閉を起こす。確認では、前立腺肥大症の有無に加えて排尿障害の有無まで尋ねる。④白内障は関係ない(緑内障との取り違えに注意)。⑤該当すればグルカゴンなどに変更。⑥腸閉塞や高度狭窄では腸管洗浄剤が禁忌。⑦検査中は迷走神経反射による徐脈・血圧低下に注意。
1分チェック
- 高齢男性の内視鏡検査前に必ず確認するのは。→ 前立腺肥大症(鎮痙薬の抗コリン作用で尿閉を招く)。
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