標準的な成長・発達をしている子どもが「ばい菌が体内に入ることで病気になる」 と考えるようになるのは、ピアジェ, J. Piaget, J. の認知的発達段階のどれか。
公式正答:2
解説
「ばい菌が体内に入ることで病気になる」と考えるようになるのは、ピアジェの認知的発達段階のどれかを問う。前操作期である。
この問題で問われていること
各段階の思考の特徴と、その年齢での病気の理解を対応づけられるか。
しくみから理解する
ピアジェの認知発達段階は、感覚運動期(0〜2歳頃)、前操作期(2〜7歳頃)、具体的操作期(7〜11歳頃)、形式的操作期(11歳頃以降)に分けられる。前操作期は、言葉やイメージを使って考えられるようになる一方、論理的な操作はまだできず、自己中心性、アニミズム、直感的な思考が特徴になる。この時期の病気の理解は、身近で目に見える原因に結びつける形をとる。「ばい菌が体に入る」という説明は、外から何かが入って中で悪さをするという、具体的で直感的な因果の理解であり、前操作期に対応する。
選択肢ごとの確認
0〜2歳頃で、感覚と運動を通じて外界を知る時期である。対象の永続性(見えなくなっても存在し続けること)の獲得が代表的な発達で、言葉による抽象的な因果の理解はまだできない。この時期の子どもは、病気を痛みや不快として体験するにとどまる。
7〜11歳頃で、具体的な事物についてなら論理的に考えられるようになる。保存の概念(形が変わっても量は変わらない)、可逆性、分類、系列化ができる。病気の理解も進み、体の中の仕組み(内臓の働き、免疫)に触れた説明を受け入れられるようになる。
11歳頃以降で、抽象的、仮説演繹的な思考ができるようになる。目に見えないものについて論理を組み立てられるため、病気を、生活習慣や遺伝、確率といった観点からも理解できる。将来への影響を考えて行動を選ぶこともできるようになる。
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混同しやすいポイント
段階と年齢を対応させ、さらに『病気をどう理解するか』を重ねて覚えると実用的になる。感覚運動期=不快の体験。前操作期=目に見える外からの原因(ばい菌、悪いことをしたから)。具体的操作期=体の中の仕組み。形式的操作期=抽象的・多要因の理解。この対応は、その子にどう説明するかを決めるときに直接使える。
理解を深める
前操作期の子どもは、病気を自分の行いの結果(罰)と捉えることがある。「野菜を食べなかったから」「言うことを聞かなかったから」と考え、罪悪感を抱く。したがって医療者は、「あなたのせいではない」と明確に伝える必要がある。また、この時期はアニミズムがあるため、注射器や機械を「痛いことをする怖いもの」として擬人化することがあり、実物に触れさせて説明することが不安の軽減につながる。入院という経験は、生活の場からの分離、身体の侵襲、見通しの立たなさという点で、どの段階の子どもにも負担になるが、その現れ方は段階によって異なる。乳児期は分離不安、幼児期は退行や反抗、学童期は自尊心と仲間関係への影響、思春期は自律性とボディイメージの問題が前面に出る。発達段階を知ることは、その子に何が起きているかを読み取るための道具になる。
間違えやすい考え方
発達段階を問う型で、誤肢がすべてピアジェの他の段階である。思考の特徴と病気の理解を対応づける。
5分で振り返る
①感覚運動期(0〜2歳)=感覚と運動、対象の永続性。②前操作期(2〜7歳)=言葉とイメージ、自己中心性、アニミズム、直感的因果(ばい菌が入る)。③具体的操作期(7〜11歳)=具体物の論理、保存、可逆性、体の仕組みの理解。④形式的操作期(11歳〜)=抽象的・仮説演繹的思考。⑤前操作期では病気を罰と捉えることがある。⑥説明の仕方は段階に合わせる。
1分チェック
- 「ばい菌が入って病気になる」と考えるのはどの段階か。→ 前操作期(2〜7歳頃)。
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