頭位で出生した直後の児の頭部に腫脹を認めた。腫脹は骨縫合を越え、波動を触 れず、数日後に消失した。 出生直後に認められた児頭の腫脹で考えられるのはどれか。
公式正答:1
解説
頭位で出生した直後の児の頭部に、骨縫合を越え、波動を触れず、数日で消失する腫脹を認めた場合に考えられるものを問う。産瘤である。
この問題で問われていること
所見の3つの特徴から、頭部の腫脹を鑑別できるか。
しくみから理解する
産瘤は、分娩時に先進部となった頭皮が、子宮口や産道で圧迫されることにより、皮下組織に浮腫と軽度のうっ血を生じたものである。骨膜より浅い層(頭皮の皮下)にできるため、骨の縫合線を越えて広がる。内容は液体の貯留ではなく浮腫であるため、波動(液体が揺れる感じ)は触れない。出生直後から存在し、圧迫が解除されれば速やかに吸収され、数時間から2〜3日で消失する。治療は不要である。
選択肢ごとの確認
骨重積は、児頭が産道を通過する際に、頭蓋骨がまだ縫合で固定されていないことを利用して、骨と骨が重なり合って頭囲を小さくする現象である。これは腫脹ではなく骨の位置の変化であり、触れると骨の段差として感じられる。出生後に自然に元へ戻る。
頭血腫は、骨膜下に出血が貯留したものである。骨膜は各頭蓋骨を個別に覆っているため、出血は骨の縫合線を越えない。この点が産瘤との最大の鑑別点になる。液体の貯留であるため波動を触れる。出生後しばらくしてから明らかになり、吸収に数週間から数か月を要する。吸収の過程でビリルビンが増え、黄疸を強める要因になる。
帽状腱膜下血腫は、帽状腱膜と骨膜の間という広い層に出血が及ぶもので、縫合線を越えて頭部全体に広がる。この層は容量が大きいため、大量の出血となって出血性ショックと重篤な貧血をきたしうる。吸引分娩との関連が知られており、頭部の急速な腫脹、頭囲の増大、蒼白、頻脈、活気の低下に注意する。産瘤と同じく縫合を越えるが、波動を触れ、増大し、全身状態が悪化する点で異なる。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
鑑別の軸は3つある。①縫合を越えるか(産瘤と帽状腱膜下血腫は越える、頭血腫は越えない)。②波動を触れるか(血腫は触れる、産瘤は触れない)。③経過(産瘤は数日で消失、頭血腫は数週〜数か月、帽状腱膜下血腫は増大して全身状態が悪化しうる)。設問の3条件がそのままこの軸に対応しており、すべて満たすのは産瘤だけになる。とくに帽状腱膜下血腫は生命に関わるため、『縫合を越える腫脹』を見たら経過と全身状態を必ず確認する。
理解を深める
新生児の頭部の観察では、大泉門と小泉門の大きさと緊張も併せて見る。大泉門は前頭骨と頭頂骨に囲まれた菱形の部分で、1歳から1歳6か月頃に閉鎖する。膨隆は頭蓋内圧亢進(髄膜炎、水頭症、頭蓋内出血)、陥凹は脱水を示唆する。頭血腫や帽状腱膜下血腫では、赤血球の破壊によりビリルビンが増加するため、黄疸の進行を観察する。新生児黄疸は生後2〜3日で現れ4〜5日でピークとなる生理的なものが多いが、生後24時間以内の出現、急速な進行、遷延は病的黄疸を疑う。産瘤を認めた場合、家族は児の頭の形の変化に驚くことがあるため、自然に消えることを説明して安心を促すことも看護になる。
間違えやすい考え方
所見から鑑別する型で、誤肢が頭部の別の変化である。縫合を越えるか・波動があるか・経過の3軸で切る。
5分で振り返る
①産瘤=皮下の浮腫、縫合を越える、波動なし、数日で消失、治療不要。②頭血腫=骨膜下の出血、縫合を越えない、波動あり、数週〜数か月。③帽状腱膜下血腫=広い層への出血、縫合を越える、波動あり、増大しショックに至りうる(吸引分娩と関連)。④骨重積=骨が重なる現象で腫脹ではない。⑤血腫では黄疸の進行を観察する。⑥大泉門の膨隆は頭蓋内圧亢進、陥凹は脱水。
1分チェック
- 縫合を越えて波動がなく数日で消える頭部の腫脹は。→ 産瘤。
この問題に対応する教材の確認中です。