精神障害のある人のリカバリーで正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
精神障害のある人のリカバリーで正しいものを問う。主体的に人生を新たに生き直すことである。
この問題で問われていること
回復という語を、症状の消失としてではなく捉えられるか。
しくみから理解する
リカバリーは、症状や障害が完全に消えることを指すのではなく、その人が自分の人生の主体として、希望を持ち、意味のある生活を送っていく過程を指す。アンソニーは、病気による制限があっても、満足感のある、希望に満ちた、貢献できる生活を送る過程だと述べた。したがって、症状が残っていてもリカバリーは成立する。当事者運動のなかから生まれた考え方であり、専門職が定めた目標ではなく、本人が定義するものだという点が本質になる。
選択肢ごとの確認
症状の回復をゴールとするのは、医学的な回復(クリニカルリカバリー)の考え方である。リカバリーはこれを含みうるが、それに限定されない。症状が続いていても、その人が自分らしい生活を築いていればリカバリーは進んでいる。
直線的には進まない。前進と後退、停滞を繰り返しながら進む非直線的な過程とされる。再発や挫折があっても、それが失敗を意味するわけではない。この理解は、支援者が『後戻りした』と落胆せず、本人を責めないために重要になる。
ストレス脆弱性モデルは、素因としての脆弱性と環境からのストレスの相互作用で発症や再発を説明する考え方である。再発予防や心理教育の基盤になる有用なモデルだが、リカバリーとは焦点が異なる。
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混同しやすいポイント
リカバリーは『症状が治ること』ではない、という一点が核心にある。誤肢1と4は、いずれも医学的なモデルに寄せた説明であり、リカバリーの当事者性が抜けている。誤肢2は、回復を右肩上がりの過程と誤解している。この3つの誤りは、支援の現場で実際に起こりやすい誤解でもある。
理解を深める
リカバリーを支える要素として、希望、自己決定、エンパワメント、意味のある役割、つながりが挙げられる。実践としては、本人の語る目標を出発点にする、選択肢を提示して本人が選ぶ、できていることに目を向ける(ストレングス)、ピアサポートを活用する、地域での役割と居場所をつくる、といった関わりになる。支援者が良かれと思って先回りし、リスクを避けるために選択を狭めることは、本人の主体性を奪う。一方で、危険を伴う選択に無条件で従うのも支援ではない。本人と一緒にリスクを検討し、責任を分かち合う(ポジティブリスクテイキング)という考え方が用いられる。日本では、長期入院からの地域移行、就労支援、当事者研究、ピアスタッフの雇用といった形で実践が広がっている。リカバリーの考え方は、精神障害に限らず、慢性疾患、依存症、認知症、がんの領域にも応用されている。
間違えやすい考え方
概念を問う型で、誤肢が医学モデルへの引き寄せと、過程の誤解で構成されている。当事者性と非直線性で切る。
5分で振り返る
①リカバリーは症状の消失ではなく、希望を持ち意味のある生活を送る過程。②症状が残っていても成立する。③前進と後退を繰り返す非直線的な過程。④本人が定義するもので、専門職が定める目標ではない。⑤支える要素は希望・自己決定・エンパワメント・役割・つながり。⑥ストレス脆弱性モデルは再発予防の枠組みで焦点が違う。⑦リスクは一緒に検討して分かち合う。
1分チェック
- リカバリーとは何か。→ 症状の消失ではなく、主体的に自分の人生を生き直していく過程。
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