生後1か月の乳児健康診査の際、外国籍の両親から子どもの予防接種について質 問があった。父親は長期に日本で就労するため、子どもは定期予防接種を受けるこ とができる。両親は「日本語が難しく、予防接種のスケジュールがよく分からない」 と看護師に言った。 看護師の対応で適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
外国籍の両親が「日本語が難しく、予防接種のスケジュールがよく分からない」と述べた場面での看護師の対応を問う。両親が理解できる言語で書かれたパンフレットを渡すことである。
この問題で問われていること
言葉の壁という課題に対して、直接的に応える手段を選べるか。
しくみから理解する
両親が困っているのは、予防接種のスケジュールという情報が、日本語のために理解できないという一点にある。これに直接応える手段は、両親が読める言語で書かれた資料を渡すことである。予防接種のスケジュールは、複数のワクチンを、月齢に応じて、決められた間隔で受けるという複雑な情報であり、口頭の説明だけでは覚えきれない。手元に残る文字の資料があれば、家庭で確認でき、次回の予定も把握できる。予防接種の説明資料は多言語のものが厚生労働省や自治体、関連団体から出されており、活用できる。
選択肢ごとの確認
大使館は在留に関わる手続きの窓口であり、日本の予防接種の具体的なスケジュールを案内する機関ではない。困りごとの内容と機関の役割が合っていない。
言葉を覚えるよう促すのは、課題の解決を本人の努力に帰す対応であり、目の前の困りごとに応えていない。言語の習得には時間がかかり、その間に接種の時期を逃してしまう。医療を受ける権利は、日本語ができるかどうかに左右されるものではない。
電話相談は、まさに言葉が通じにくい状況では有効に働かない。表情や身振り、書いたものを見せるといった手がかりが使えず、日本語での聞き取りはさらに難しくなる。保健師との連携自体は有用だが、この場面での第一の手段としては適さない。
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混同しやすいポイント
『困っていることは何か』を正確に読むことが要点になる。困っているのは日本語の理解であって、相談先を知らないことでも、意欲が足りないことでもない。誤肢は、別の機関へ回す、本人の努力に帰す、通じにくい手段を選ぶという形で、いずれも課題に直接応えていない。
理解を深める
在留外国人への医療では、言語のほかに、制度の理解、文化や宗教に基づく習慣、経済的な事情、在留資格に関わる不安が重なることがある。支援の手段としては、多言語の資料、医療通訳(対面、電話、映像)、やさしい日本語、翻訳アプリ、ピクトグラムがある。家族や子どもに通訳をさせることは、内容の正確さが担保されず、また子どもに重い負担を負わせるため避けるべきとされる。予防接種は、定期接種であれば居住する市町村で受けられ、住民登録があれば国籍を問わず対象になる。母子健康手帳も多言語版が用意されている。看護師は、その人が制度の対象であることを確認し、使える資源につなぐ役割を持つ。文化的な背景については、決めつけず、その家族がどう考えているかを尋ねる姿勢が基本になる。同じ国の出身でも、宗教や地域、個人によって考え方は異なる。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢が別機関への回付、本人の努力への転嫁、通じにくい手段で構成されている。困りごとの内容と手段が合うかで切る。
5分で振り返る
①困りごとは日本語の理解、それに直接応える手段を選ぶ。②多言語の資料は厚生労働省・自治体・関連団体が用意している。③電話相談は言葉が通じにくい状況では有効に働かない。④言葉の習得を求める対応は課題を本人に帰すもの。⑤医療通訳(対面・電話・映像)ややさしい日本語も手段になる。⑥家族や子どもに通訳をさせない。⑦定期予防接種は住民登録があれば国籍を問わず対象。
1分チェック
- 言葉が分からず困っている家族への第一の対応は。→ 理解できる言語の資料を渡す(手元に残り家庭で確認できる)。
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