心房と心室の間を電気的に結合し、心房側の興奮を心室側に伝えるのはどれか。
公式正答:4
解説
心房と心室の間を電気的に結合し、心房側の興奮を心室側に伝えるものを問う。ヒス束である。
この問題で問われていること
刺激伝導系の各部位の位置と役割を、順序として把握しているか。
しくみから理解する
心房と心室は、線維性の房室輪(線維輪)によって電気的に絶縁されている。この絶縁を貫いて興奮を伝える唯一の経路がヒス束(房室束)である。刺激伝導系は、洞房結節(右心房上部、歩調取り)→心房筋→房室結節(心房中隔下部、伝導を遅らせる)→ヒス束→左脚と右脚→プルキンエ線維→心室筋という順で興奮を伝える。房室結節で伝導が遅れることにより、心房が収縮して心室へ血液を送り込んでから心室が収縮するという時間差が生まれる。
選択肢ごとの確認
心筋層は心臓の壁を構成する筋肉の層であり、収縮そのものを担う。心房筋と心室筋は房室輪で絶縁されているため、心筋層を通って心房から心室へ興奮が伝わることはない。
心内膜は心腔の内面を覆う膜である。刺激伝導系の一部ではない。なお心内膜が炎症を起こしたものが感染性心内膜炎で、弁膜に疣贅を形成し、塞栓症の原因になる。
洞房結節は右心房の上部にあり、自動的に興奮を発生する歩調取り(ペースメーカー)である。刺激伝導系の出発点であって、心房と心室をつなぐ部位ではない。固有心拍数はおおむね60〜80回/分で、これが正常な心拍のリズムをつくる。
プルキンエ線維は、左脚と右脚から枝分かれして心室筋の内側に広がる末端の伝導路である。ヒス束より下流にあり、心室内で興奮を速やかに広げる役割を担う。心房と心室をつなぐ部位ではない。
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混同しやすいポイント
『心房と心室を電気的に結ぶ唯一の経路』という条件が、ヒス束を一意に決める。洞房結節とプルキンエ線維は、いずれも刺激伝導系の一部だが、位置が上流と下流で異なる。順序を「洞房結節→房室結節→ヒス束→脚→プルキンエ線維」と唱えられるようにしておけば、位置関係で判断できる。
理解を深める
刺激伝導系の各部位は、それぞれ固有の自動能を持ち、上位が働かなくなると下位が代わりに歩調取りとなる。洞房結節60〜100回/分、房室結節40〜60回/分、心室(プルキンエ線維以下)20〜40回/分と、下位ほど遅くなる。完全房室ブロックでは、心房と心室が独立して興奮し、心室の固有調律による徐脈となるため、失神(アダムス・ストークス発作)を生じてペースメーカーの適応になる。心電図との対応も押さえる。P波=心房の興奮、PQ間隔=房室結節での伝導の遅れを含む心房から心室への伝導時間、QRS波=心室の興奮、T波=心室の再分極。PQ間隔の延長は房室ブロック、QRS幅の延長は脚ブロックや心室起源の興奮を示す。看護では、心電図モニタの波形を見るときに、この解剖と対応させて考えると、どこで何が起きているかを捉えやすくなる。
間違えやすい考え方
部位を問う型で、誤肢に刺激伝導系の上流と下流、心臓の構造が混ざっている。順序と位置で切る。
5分で振り返る
①刺激伝導系=洞房結節→房室結節→ヒス束→左脚・右脚→プルキンエ線維。②心房と心室は房室輪で絶縁され、ヒス束だけが貫く。③房室結節で伝導が遅れ、心房収縮の後に心室が収縮する。④固有の自動能は洞房結節60〜100、房室結節40〜60、心室20〜40回/分(成人では100回/分を超えると洞性頻脈)。⑤完全房室ブロックは徐脈と失神を招きペースメーカーの適応。⑥P波=心房、QRS=心室、PQ延長=房室ブロック。
1分チェック
- 心房と心室を電気的に結ぶ唯一の経路は。→ ヒス束(房室束)。
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