日本の人口動態統計の死因別死亡率の年次推移をグラフに示す。 C の死因はどれか。
公式正答:2
解説
人口動態統計の死因別死亡率の年次推移を示すグラフで、Cの死因がどれかを問う。老衰である。
この問題で問われていること
主要な死因の推移の形を、社会の変化と結びつけて把握しているか。
しくみから理解する
老衰による死亡率は、近年になって急激に上昇している点が特徴になる。かつては減少していたが、2000年代以降に増加へ転じ、2018年に脳血管疾患を抜いて第3位となり、その後も上昇を続けている。背景には、超高齢化により死亡する年齢そのものが上がったこと、終末期に積極的な治療を行わない選択が広がったこと、死亡診断において老衰と記載されることが増えたことがある。他の死因が横ばいや緩やかな変化を示すなかで、近年に急な立ち上がりを見せる曲線が老衰にあたる。
選択肢ごとの確認
肺炎は、高齢化に伴い上昇していたが、2017年に死因分類の取扱いが変更され、誤嚥性肺炎が別に集計されるようになったことで、統計上の順位が下がった。統計の定義の変更が数値に影響した例として重要になる。
心疾患は、悪性新生物に次ぐ第2位を長く占めている。1995年前後に一時的な低下と上昇がみられるが、これは死亡診断書の様式変更(心不全を死因として記載する扱いの変更)によるもので、実際の疾病構造の変化ではない。統計の読み方として押さえておく。
脳血管疾患は、かつて死因の第1位を占めていたが、高血圧の管理と食塩摂取の減少により大きく低下した。長期にわたる減少傾向を示す曲線になる。
悪性新生物(腫瘍)は1981年以降、一貫して第1位で、上昇を続けている。最も高い位置にある曲線であり、グラフでは見分けやすい。
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混同しやすいポイント
各死因の推移の形を持っておくと、グラフ問題に対応できる。悪性新生物=最上位で上昇。心疾患=第2位で上昇(1995年前後に統計上の変動)。老衰=近年に急上昇し第3位へ。脳血管疾患=かつて1位、大きく低下。肺炎=上昇後、2017年の分類変更で低下。特徴は『いつ、なぜ変わったか』にあり、統計の定義変更が2つ含まれている点が、この分野の理解を難しくしている。
理解を深める
死因統計を読むときは、粗死亡率と年齢調整死亡率の違いを意識する。粗死亡率は人口の高齢化の影響を受けるため、高齢化が進めば多くの死因で上昇する。年齢構成の影響を除いた年齢調整死亡率で見ると、悪性新生物も心疾患も実は低下傾向にある。つまり『増えている』のは、人口が高齢化しているからという要素が大きい。この区別は、健康の状態が良くなっているのか悪くなっているのかを判断するうえで決定的になる。看護においては、死因の順位そのものより、それぞれの疾患の予防と管理に何ができるかが重要になる。悪性新生物では検診の受診率、心疾患と脳血管疾患では血圧・脂質・血糖・喫煙の管理、肺炎では口腔ケアとワクチン、老衰では本人の意思に沿った終末期のあり方が、それぞれ関わる点になる。
間違えやすい考え方
グラフの読み取りだが、実質は推移の形と変化の時期を問う型である。統計の定義変更も含めて持つ。
5分で振り返る
①悪性新生物は1981年以降ずっと第1位で上昇。②心疾患は第2位、1995年前後の変動は死亡診断書の様式変更による。③老衰は2000年代以降に急上昇し2018年に第3位へ。④脳血管疾患はかつて1位、高血圧管理と減塩で大きく低下。⑤肺炎は2017年の分類変更(誤嚥性肺炎の分離)で順位が下がった。⑥粗死亡率は高齢化の影響を受ける、年齢調整死亡率では低下傾向。
1分チェック
- 近年に急上昇して第3位になった死因は。→ 老衰(超高齢化と終末期のあり方の変化が背景)。
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