門脈系の血管はどれか。2つ選べ。
公式正答:2・5
解説
門脈は消化管と脾臓からの血液を肝臓へ運ぶ特別な静脈。門脈の本幹をつくるのは上腸間膜静脈と脾静脈で、下腸間膜静脈は多くの場合、脾静脈へ注いで門脈系に加わる。
この問題で問われていること
門脈系(肝臓へ入る側)と肝静脈(肝臓から出る側)を区別できるか。門脈を構成する血管の名前を挙げられるか。
しくみから理解する
腸で吸収された栄養素は、直接全身へ回らずまず肝臓を通る。この経路をつくるのが門脈で、その本幹は上腸間膜静脈と脾静脈が膵頭部の背側で合流して形成される。下腸間膜静脈は脾静脈へ注ぐことが最も多いが、上腸間膜静脈や合流部へ注ぐ例もあり、終末の位置には個人差がある。門脈系に含まれる血管は、これら3本のほか、胃、小腸、大腸、脾臓、膵臓、胆嚢からの静脈になる。門脈は肝門から肝臓に入り、類洞で肝細胞に接したあと、中心静脈から集まって肝静脈となり、下大静脈へ注ぐ。つまり門脈は「毛細血管と毛細血管のあいだにある静脈」であり、これが門脈という名前の意味である。肝静脈は肝臓を出る側なので門脈系ではない。
選択肢ごとの確認
肝臓から出て下大静脈へ注ぐ血管。名前に「肝」が付くので門脈系と思いやすいが、門脈系は肝臓へ入る側を指す。
脾臓からの血液を集め、上腸間膜静脈と合流して門脈をつくる。
通常は奇静脈系を経て上大静脈へ注ぐ体循環の静脈。ただし門脈圧が上がると門脈系と体循環のあいだの側副路(門脈大循環吻合)として拡張し、食道静脈瘤になる。関係はするが門脈系そのものではない。
骨盤内の血液を集めて総腸骨静脈から下大静脈へ注ぐ。直腸下部の血液はここへ入るため、門脈系との吻合部になる(痔核)。
下行結腸・S状結腸・直腸上部からの血液を集め、脾静脈を経て門脈に入る。
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混同しやすいポイント
「肝」の字に引きずられて肝静脈を選ぶのがこの問題の本命。門脈は肝臓へ入る血管、肝静脈は肝臓から出る血管、と向きで分ける。肝臓には門脈と肝動脈の2本が入り、肝静脈1系統が出るという「入り2・出1」の構造で覚えるとよい。
理解を深める
門脈圧亢進症(多くは肝硬変)を理解する土台になる。肝臓を通れなくなった血液は、門脈系と体循環がつながっている4か所の吻合部へ逃げる。①食道下部(食道静脈瘤)②臍周囲(メドゥーサの頭)③直腸下部(痔核)④後腹膜。このうち食道静脈瘤は破裂すると大量吐血をきたし致命的になる。この設問で食道静脈が誤肢に置かれているのも、この吻合の知識を試しているためである。
間違えやすい考え方
同じ臓器名を含む血管を、入る側と出る側で対にして誤らせる型。臓器に対する血管は「入る/出る」を必ずセットで覚える。
5分で振り返る
門脈本幹=上腸間膜静脈と脾静脈が膵頭部の背側で合流して形成される。下腸間膜静脈は脾静脈へ注ぐことが最も多いが、上腸間膜静脈や合流部へ注ぐ例もあり、終末の位置には個人差がある。門脈系にはこれら3本が含まれる。消化管と脾臓の血液を肝臓へ運ぶ。肝臓に入るのは門脈と肝動脈の2本、出るのは肝静脈で下大静脈へ注ぐ。門脈は毛細血管どうしをつなぐ静脈。門脈圧亢進では食道下部・臍周囲・直腸下部・後腹膜の吻合部が拡張し、食道静脈瘤・メドゥーサの頭・痔核となる。
1分チェック
- 門脈をつくる3本の血管は何か
- 肝静脈はどこへ注ぐか
- 肝臓に入る血管は何本か
- 門脈大循環吻合の部位を挙げられるか
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