内臓脂肪の蓄積を推定するために用いるのはどれか。2つ選べ。
公式正答:3・4
解説
内臓脂肪の蓄積を推定するために用いるものを2つ問う。腹部CTと腹囲(ウエスト周囲長)である。
この問題で問われていること
何を測ると内臓脂肪そのものが分かるかを、体格の指標と区別できるか。
しくみから理解する
内臓脂肪の量を最も正確に評価できるのは腹部CTである。臍のレベルでの断面を撮影し、内臓脂肪面積を測定する。100平方センチメートル以上が内臓脂肪の蓄積とされる。ただしCTは被曝と費用を伴うため、日常のスクリーニングには腹囲(ウエスト周囲長)を用いる。腹囲は臍の高さで水平に測定し、男性85cm以上、女性90cm以上が内臓脂肪面積100平方センチメートルに相当するとして、メタボリックシンドロームの必須項目に位置づけられている。
選択肢ごとの確認
身長だけでは脂肪の分布は分からない。体格指数を計算する要素の一つではあるが、単独では内臓脂肪の推定に使えない。
体重も同様である。体重と身長から求める体格指数は、肥満の程度を示すが、脂肪がどこに付いているか(内臓か皮下か)は区別できない。同じ体格指数でも内臓脂肪型と皮下脂肪型があり、健康リスクは前者のほうが高い。
血中トリグリセライド値は、内臓脂肪の蓄積があると上昇しやすく、メタボリックシンドロームの診断項目にも含まれる。しかし、脂肪の量そのものを測るのではなく、代謝の状態を反映する検査値であり、食事の影響も受ける。『推定するために用いる』ものとしては、腹囲やCTのような直接的な指標が答えになる。
もっと詳しく読む
混同しやすいポイント
『何を測っているか』を区別する。腹部CT=内臓脂肪面積そのもの。腹囲=内臓脂肪面積の代替指標。身長・体重(体格指数)=全体の体格。トリグリセライド=代謝の結果。設問が『内臓脂肪の蓄積を推定するため』と限定しているので、脂肪の分布に直接関わる指標を選ぶ。
理解を深める
メタボリックシンドロームの診断基準では、腹囲(男性85cm以上、女性90cm以上)が必須項目で、これに加えて、脂質異常(トリグリセライド150mg/dL以上、またはHDLコレステロール40mg/dL未満)、血圧高値(収縮期130mmHg以上、または拡張期85mmHg以上)、高血糖(空腹時血糖110mg/dL以上)のうち2項目以上を満たす場合に該当する。内臓脂肪細胞からは、アディポサイトカインと総称される生理活性物質が分泌される。腫瘍壊死因子αや遊離脂肪酸はインスリン抵抗性を高め、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1は血栓を作りやすくし、アンジオテンシノゲンは血圧を上げる。一方、善玉とされるアディポネクチンは内臓脂肪の蓄積により減少し、抗動脈硬化作用が失われる。内臓脂肪は食事と運動で減りやすいという特徴があり、特定健康診査・特定保健指導は、この点に着目して腹囲を入り口に生活習慣の改善を促す仕組みになっている。
間違えやすい考え方
2つ選べの型で、誤肢が体格の指標と代謝の検査値である。何を直接測っているかで切る。
5分で振り返る
①腹部CTで臍レベルの内臓脂肪面積を測る(100cm2以上で蓄積)。②腹囲は臍の高さで水平に測り、男性85cm・女性90cm以上が相当する。③身長・体重(体格指数)は全体の体格で脂肪の分布は分からない。④トリグリセライドは代謝の結果を反映する検査値。⑤メタボリックシンドロームは腹囲が必須項目+脂質・血圧・血糖のうち2項目以上。⑥内臓脂肪はアディポサイトカインを介して代謝と血圧に影響する。
1分チェック
- 内臓脂肪の蓄積は何で推定するか。→ 腹部CT(内臓脂肪面積)と腹囲(その代替指標)。
この問題に対応する教材の確認中です。