次の文を読み、問いに答えよ。A君(12歳、男児)は、肥満を心配した保護者に連れられて来院した。A君と保護者は、医師から「1日の食事内容を毎日記録し、1週後に再診してください」と説明された。既往歴と家族歴:特記すべきことはない。生活歴:スナック菓子などの間食を好む。時間があればポータブル型のゲーム機でサッカーゲームばかりして、就寝時刻は毎晩午前0時を過ぎる。A君は、学校生活は楽しく思っているが朝起きられず遅刻して登校することが多い。また、運動することが嫌いなため運動の習慣はない。身体所見:身長153.0cm(標準152.4cm)、体重61.7kg(標準44.1kg)。血圧100/60mmHg。心音と呼吸音に異常はない。腹部は平坦、軟で、肝臓と脾臓を触知しない。
A 君の肥満度(%)に最も近いのはどれか。
公式正答:4
解説
身長153.0cm(標準152.4cm)、体重61.7kg(標準44.1kg)の12歳男児の肥満度を問う。約40%である。
この問題で問われていること
肥満度の計算式を正しく使えるか。
しくみから理解する
小児の肥満の評価には、成人で用いる体格指数ではなく肥満度を用いる。式は、肥満度(%)=(実測体重-標準体重)÷標準体重×100 である。標準体重は、性別・年齢別・身長別の標準値を用いる。この事例では、(61.7-44.1)÷44.1×100 = 17.6÷44.1×100 = 39.9…となり、約40%になる。学童では、肥満度20%以上を軽度肥満、30%以上を中等度肥満、50%以上を高度肥満とする。したがってこの児は中等度肥満に該当する。
選択肢ごとの確認
25%とすると、標準体重からの超過が11kg程度になり、実際の17.6kgと合わない。軽度肥満の範囲になってしまう。
30%とすると超過が13.2kg程度になる。中等度肥満の境界にあたるが、計算値と合わない。
35%とすると超過が15.4kg程度になる。近いが計算値の39.9%とは異なる。
45%とすると超過が19.8kg程度になり、実際の17.6kgを上回る。
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混同しやすいポイント
分母を取り違えないことが要点になる。標準体重で割るのであって、実測体重で割るのではない。実測で割ると17.6÷61.7×100=28.5%となり、誤肢2や3に近い値が出てしまう。式を正確に覚え、計算後に判定区分(20%・30%・50%)と照らして意味づけることまで行う。なお乳幼児ではカウプ指数(体重kg÷身長mの2乗、体格指数と同じ式)を用い、成人では体格指数を用いる。年齢によって使う指標が変わる点も押さえる。
理解を深める
この事例の生活背景を見ると、間食としてスナック菓子を好む、ゲームばかりで運動の習慣がない、就寝が午前0時過ぎで朝起きられず遅刻が多い、という要素が並んでいる。小児の肥満は、成人の肥満へ移行しやすく、2型糖尿病、脂質異常症、高血圧、脂肪肝、睡眠時無呼吸といった合併症のリスクを高める。加えて、学童期には、外見をからかわれる、運動が苦手で参加を避ける、自己評価が下がるといった心理社会的な影響が大きい。支援では、体重の数値だけを目標にせず、生活習慣を一つずつ変えることを目指す。具体的には、間食の内容と時間を決める、甘い飲料を水やお茶に替える、画面を見る時間を制限する、就寝時刻を早める、家族全体で食習慣を見直す、楽しめる身体活動を見つける、といった内容になる。成長期であるため、極端な食事制限は身長の伸びと発達を妨げる。体重を減らすより、身長が伸びる間に体重の増加を緩やかにするという考え方が基本になる。本人を責めず、できたことを認める関わりが継続の鍵になる。
間違えやすい考え方
計算問題。分母(標準体重)を取り違えないことと、判定区分と照らすことが要点になる。
5分で振り返る
①肥満度(%)=(実測体重-標準体重)÷標準体重×100。分母は標準体重。②(61.7-44.1)÷44.1×100=約40%。③学童では20%以上軽度、30%以上中等度、50%以上高度。④乳幼児はカウプ指数、成人は体格指数と、年齢で指標が変わる。⑤小児肥満は成人肥満へ移行し、糖尿病・脂質異常症・脂肪肝のリスクになる。⑥成長期は極端な制限をせず、体重増加を緩やかにする。
1分チェック
- 小児の肥満度の式は。→ (実測体重-標準体重)÷標準体重×100。この事例は約40%(中等度肥満)。
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