次の文を読み、問いに答えよ。A君(12歳、男児)は、肥満を心配した保護者に連れられて来院した。A君と保護者は、医師から「1日の食事内容を毎日記録し、1週後に再診してください」と説明された。既往歴と家族歴:特記すべきことはない。生活歴:スナック菓子などの間食を好む。時間があればポータブル型のゲーム機でサッカーゲームばかりして、就寝時刻は毎晩午前0時を過ぎる。A君は、学校生活は楽しく思っているが朝起きられず遅刻して登校することが多い。また、運動することが嫌いなため運動の習慣はない。身体所見:身長153.0cm(標準152.4cm)、体重61.7kg(標準44.1kg)。血圧100/60mmHg。心音と呼吸音に異常はない。腹部は平坦、軟で、肝臓と脾臓を触知しない。
A 君の1週間の食事内容の記録によると、野菜が不足し、高カロリーな菓子類 や甘い飲み物を好んで摂取していることが判明した。A 君と保護者は「食事内容を 見直し、体重を減らすことが大切です」と医師から説明され、食事摂取基準のパン フレットを渡された。パンフレットには、学童期の脂質エネルギー比率(% エネル ギー)は20〜30 % と記載されている。A 君が診療を終えて帰宅する際、保護者は 看護師に「痩せるために脂質は可能な限り0% にしないとだめですね」と話した。 脂質エネルギー比率(% エネルギー)に関する看護師の助言で適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
保護者が「痩せるために脂質は可能な限り0%にしないとだめですね」と話した場面での、脂質エネルギー比率についての説明を問う。「標準的な目標量である25%程度が良いですよ」である。
この問題で問われていること
食事摂取基準の目標量を、成長期の必要性とともに説明できるか。
しくみから理解する
食事摂取基準では、学童期の脂質エネルギー比率の目標量は20〜30%とされている。設問文にもパンフレットの記載として示されている。この範囲の中央にあたる25%程度が、現実的で分かりやすい目安になる。脂質は、効率のよいエネルギー源であるだけでなく、細胞膜の構成成分、脂溶性ビタミン(A・D・E・K)の吸収、必須脂肪酸の供給、ホルモンの材料として不可欠である。成長期に極端に制限すれば、発育と発達に影響する。減らすべきは総摂取エネルギーの過剰と、菓子や甘い飲料に含まれる糖質であり、脂質を0%にすることではない。
選択肢ごとの確認
35%は目標量の上限(30%)を超えている。ストレスがないという配慮は理解できるが、基準を超える値を勧めることは適切でない。
0%に近づける努力を肯定することは誤りである。脂質は必須の栄養素であり、必須脂肪酸は体内で合成できないため、食事から摂る必要がある。極端な制限は、成長障害、脂溶性ビタミンの欠乏、皮膚の異常を招く。
10%は目標量を大きく下回る。しかも「成人になるまで続ける」という長期の制限は、成長期の児にとって明らかに有害である。
「脂質は急に減らさず、野菜の摂取で栄養を補いましょう」は、野菜を勧める点では有用だが、保護者の誤解(脂質を0%にすべきという考え)を正していない。設問は脂質エネルギー比率について説明を求めており、目標量を具体的に伝えることが求められる。また野菜は脂質の代替にならない。
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混同しやすいポイント
保護者の誤解を、否定するのではなく正しい情報で置き換えることが要点になる。「その通りです」と肯定する誤肢3は明確に誤りだが、誤肢5のように、誤解に触れずに別の助言をする形も、この場面では不十分になる。基準値が設問文に示されているので、その範囲内の具体的な数値を伝えることが答えになる。
理解を深める
小児の肥満への食事指導では、制限より置き換えという考え方が実行しやすい。甘い飲料を水やお茶にする、菓子を果物や乳製品にする、揚げ物を減らして調理法を変える、野菜を先に食べる、よく噛む、といった具体策になる。記録をつけることは、本人と家族が自分の食生活を客観的に見る助けになり、この事例でも医師が1週間の記録を指示している。ただし記録が「監視」や「叱責の材料」になると続かないため、できたことに注目する使い方を伝える。三大栄養素のエネルギー産生栄養素バランスの目標量は、たんぱく質13〜20%、脂質20〜30%、炭水化物50〜65%である(年齢により若干異なる)。成長期には、たんぱく質、カルシウム、鉄の確保も重要になる。家族全体で食習慣を見直すことが、子どもだけに我慢させる形を避け、継続につながる。学校との連携(給食、体育、養護教諭)も有効な資源になる。
間違えやすい考え方
『説明』を問う型で、誤肢が基準を超える値・0%の肯定・大きく下回る値・誤解に触れない助言で構成されている。設問文の基準内の具体値で切る。
5分で振り返る
①学童期の脂質エネルギー比率の目標量は20〜30%、目安は25%程度。②脂質は細胞膜、脂溶性ビタミンの吸収、必須脂肪酸、ホルモンの材料として不可欠。③0%や10%は成長障害と脂溶性ビタミン欠乏を招く。④減らすのは総エネルギーの過剰と菓子・甘い飲料の糖質。⑤エネルギー産生栄養素バランスはたんぱく質13〜20%、脂質20〜30%、炭水化物50〜65%。⑥制限より置き換えが続けやすい。⑦記録は監視ではなく気づきの道具として使う。
1分チェック
- 学童期の脂質エネルギー比率の目標量は。→ 20〜30%(目安として25%程度)。
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