次の文を読み、問いに答えよ。A君(5歳6か月、男児)は、二分脊椎spinabifidaのため、繰り返し使用できるカテーテルによる間欠的自己導尿を両親が実施している。現在、間欠的自己導尿は、保育所での実施を含めて1日6回行うよう医師が指示しており、自宅では両親が導尿している。A君は下肢の運動機能障害があるが、自分で車椅子からトイレに移動でき、指先の微細な動きもできる。外来受診の際に母親から「地元の小学校に入学予定です。小学生になったら自分で導尿できたほうが良いと聞きました。Aも間欠的自己導尿をやってみたい、と言っています。どのように進めたらよいか分からず、焦っています」と看護師に相談があった。
母親への説明で、最も適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
二分脊椎のある5歳6か月男児について、母親から小学校入学に向けて自己導尿をどう進めればよいか相談された場面での説明を問う。「手順の中で、A君ができることを段階的に行いましょう」である。
この問題で問われていること
手技の自立を、段階的な達成として組み立てられるか。
しくみから理解する
自己導尿は、手洗い、物品の準備、体位をとる、外尿道口の清拭、カテーテルの挿入、尿の排出の確認、カテーテルの抜去、後始末という複数の手順から成る。5歳6か月の子どもがこれを一度に習得することはできない。できる手順から一つずつ任せ、成功を重ねながら範囲を広げていくことで、無理なく自立に近づける。この児は、車椅子からトイレへ自分で移動でき、指先の微細な動きもできるため、手順の一部は既に実施可能と考えられる。段階的に進める方法は、成功体験を積み重ねられる点でも、本人の意欲(「やってみたい」と言っている)を活かせる点でも適している。
選択肢ごとの確認
失敗を繰り返すことが自信につながるという説明は誤りである。繰り返す失敗は、意欲を失わせ、自己評価を下げ、手技そのものへの拒否を招く。自信は成功体験によって育つ。できる範囲から始めるのは、成功を保証するためでもある。
入学までに最後まで一人でできるようにするという目標設定は、期限を区切って子どもに負担をかけるものになる。習得の速度には個人差があり、焦りは本人にも家族にも伝わる。母親は既に「焦っています」と述べており、その焦りを強める説明は適切でない。学校生活は、完全な自立が前提ではなく、養護教諭や担任の支援を受けながら進められる。
最初のステップをカテーテルの挿入とすることは、最も難しく、失敗すると痛みや出血を伴う手順から始めることになる。順序としては、手洗いや物品の準備といった、確実にできて安全な手順から始めるのが適切になる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、失敗を肯定する、期限を切る、最も難しい手順から始める、という3つの誤りで構成されている。共通しているのは、子どもの発達段階と成功体験の重要性を考慮していない点である。段階的に進める(スモールステップ)という原則を持っていれば、いずれも落とせる。
理解を深める
小児の医療的ケアの自立支援では、その子の発達段階、認知の理解力、手指の巧緻性、意欲、そして家族の状況を評価してから計画を立てる。学校での実施を見据える場合は、学校との連携が不可欠になる。導尿を行う場所(保健室、多目的トイレ)、時間の確保、物品の保管、プライバシーの確保、養護教諭や担任の理解、緊急時の連絡体制を、入学前に相談しておく。学校教育法に基づく就学相談や、医療的ケア児支援法により、学校の受け入れ体制の整備は進められている。二分脊椎では、神経因性膀胱による尿路感染と腎機能障害の予防が長期の課題になるため、導尿の確実な実施が腎臓を守ることにつながる。この意味を、本人が理解できる言葉で伝えることも、自立への動機になる。また、排泄に関わるケアは、成長とともに羞恥心が強まる領域であり、プライバシーへの配慮と、本人が自分で管理できることの意味は年齢とともに大きくなる。
間違えやすい考え方
『最も適切な説明』を問う型で、誤肢が失敗の肯定・期限の設定・最難関からの開始である。段階的な達成の原則で切る。
5分で振り返る
①自己導尿は複数の手順から成り、一度には習得できない。②できる手順から一つずつ任せ、成功を重ねる(スモールステップ)。③自信は成功体験で育つ、失敗の反復は意欲を失わせる。④期限を切ると本人と家族の焦りを強める。⑤最初は手洗いや準備など確実で安全な手順から。⑥学校との連携(場所、時間、物品、プライバシー、緊急時)を入学前に相談する。⑦二分脊椎では確実な導尿が腎機能を守る。
1分チェック
- 手技の自立をどう進めるか。→ できる手順から段階的に任せ、成功体験を重ねる。
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