次の文を読み、問いに答えよ。A君(5歳6か月、男児)は、二分脊椎spinabifidaのため、繰り返し使用できるカテーテルによる間欠的自己導尿を両親が実施している。現在、間欠的自己導尿は、保育所での実施を含めて1日6回行うよう医師が指示しており、自宅では両親が導尿している。A君は下肢の運動機能障害があるが、自分で車椅子からトイレに移動でき、指先の微細な動きもできる。外来受診の際に母親から「地元の小学校に入学予定です。小学生になったら自分で導尿できたほうが良いと聞きました。Aも間欠的自己導尿をやってみたい、と言っています。どのように進めたらよいか分からず、焦っています」と看護師に相談があった。
11 歳になったA 君は間欠的自己導尿を自分で実施している。本日の定期受診時 の尿検査で、尿蛋白+、赤血球(-)、白血球2+、尿の混濁+の所見がみられた。 受診に付き添った父親から「最近、A は親の言うことを聞かないし、あまり口を きいてくれません。家では自立して間欠的自己導尿を行っていますが、学校でも やっているのか心配です」と発言があった。A 君の水分摂取や運動の状況は以前と 変わらない。 外来看護師の対応で最も適切なのはどれか。
公式正答:2
解説
11歳で自己導尿を行っている児の尿検査で蛋白・白血球・混濁がみられ、父親から「親の言うことを聞かない、学校でもやっているのか心配」と発言があった場面での対応を問う。学校での導尿の状況についてA君と話すことである。
この問題で問われていること
問題の所在を推定し、本人から直接情報を得る姿勢を選べるか。
しくみから理解する
尿検査で白血球と混濁がみられ、尿路感染が疑われる。水分摂取や運動の状況は変わっていないため、導尿の回数や方法に変化が生じている可能性が高い。とくに学校での実施は、時間の確保、場所、友人の目、部活動や行事といった事情から省略されやすい。11歳という年齢は、自己管理が求められる一方で、周囲との違いを意識し始め、医療的ケアを人に知られたくないと感じる時期でもある。したがって、本人から直接、学校での状況を聞くことが、原因を明らかにする最も確実な方法になる。父親を介さず本人と話すことは、本人を管理の対象ではなく主体として扱う姿勢の表れでもある。
選択肢ごとの確認
導尿の必要性の説明は、本人が既に長年実施しており、知識の不足が原因とは考えにくい。実施できていないとすれば、理由は知識ではなく状況にある。説明を繰り返すことは、本人を責める調子になりやすい。
親が学校へ行って導尿を実施することは、11歳の本人の自立を後退させ、学校での立場も難しくする。本人の尊厳と発達段階を考えると適切でない。学校での実施が難しい事情があるなら、学校と相談して環境を整えるほうが解決になる。
シールを貼る方法は、より低年齢の子どもへの動機づけとしては有効なことがある。しかし11歳には幼く感じられ、かえって自尊心を損なう。また、この事例の課題は動機づけではなく、学校での実施を妨げる事情にあると考えられる。
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混同しやすいポイント
誤肢は、知識の不足と決めつける、自立を後退させる、発達段階に合わない方法を用いる、という3つの誤りで構成されている。共通するのは、本人に事情を聞かないまま対応を決めている点である。まず本人から話を聞く、という順序が答えになる。
理解を深める
小児期に発症した慢性疾患のある人が、成人期の医療へ移行していく過程を移行期支援(トランジション)という。11歳という年齢は、その入口にあたる。親が管理する医療から、本人が主体的に担う医療へ移る時期であり、疾患と治療の理解、自己管理の技能、受診や相談を自分で行う力、そして自分の体について語る力を、段階的に育てていく。この時期には、親と本人だけの場面をつくり、本人と直接話す機会を持つことが重要になる。友人関係、学校生活、将来の希望、困っていることを、本人の言葉で聞く。反抗的に見える態度も、自立へ向かう過程の一部として理解する。学校側との連携では、導尿の場所と時間、プライバシー、緊急時の対応を確認し、本人が希望する範囲で周囲に説明する。尿路感染を繰り返すことは腎機能の悪化につながるため、原因を明らかにして対処することは医学的にも重要になる。
間違えやすい考え方
『最も適切な対応』を問う型で、誤肢が知識不足と決めつける・自立を後退させる・年齢に合わない方法である。本人から事情を聞く順序で切る。
5分で振り返る
①尿の白血球と混濁は尿路感染を示唆し、導尿の実施状況の変化を疑う。②学校での実施は時間・場所・友人の目により省略されやすい。③本人から直接聞くことが原因究明の最も確実な方法。④知識の不足と決めつけて説明を繰り返さない。⑤親が学校で実施することは自立を後退させる。⑥11歳は移行期支援の入口、親と離れて本人と話す機会を持つ。⑦学校と連携して場所・時間・プライバシーを整える。
1分チェック
- 自己管理が崩れた徴候があるとき、まず何をするか。→ 本人から直接、状況と事情を聞く。
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