次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(21歳、女性、大学生)は、1人で暮らしている。友人関係のトラブルでうつ状態になり、3か月前から精神科クリニックへの通院を開始した。頓用の抗不安薬を処方され不安が高まったときに服用していたが、徐々に酩酊や陶酔感を得るために服用するようになった。最近は指示された抗不安薬の量では酩酊や陶酔感が得られなくなってきたため、数日分の薬を溜めて一度に大量に服用するようになった。抗不安薬を大量に使用した翌日は大学を休むことが続いていた。
入院後5日、物質使用障害〈substance use disorders〉〈依存症〉の診断を受け、治療によって状態が安定した A さんは退院の準備をすることになった。A さんは1人暮らしを続けながら復学 を希望している。 A さんに利用を勧める社会資源はどれか。
公式正答:3
解説
物質使用障害と診断され状態が安定し、一人暮らしを続けながら復学を希望する21歳女性に勧める社会資源を問う。セルフヘルプグループである。
この問題で問われていること
本人の希望と、依存症の回復に有効な資源を結びつけられるか。
しくみから理解する
セルフヘルプグループ(自助グループ)は、同じ問題を持つ人が集まり、体験を分かち合い、互いに支え合う場である。依存症の領域では、断酒会、アルコホーリクス・アノニマス、ナルコティクス・アノニマスといったグループが活動している。専門職による治療とは別に、当事者どうしのつながりが回復を支えることが、この領域の特徴になる。同じ経験をした人の話を聞くことで、自分だけではないと感じられ、また回復した人の存在が希望になる。一人暮らしを続けながら復学するという希望とも両立し、生活を変えずに参加できる。
選択肢ごとの確認
行動援護は、障害者総合支援法に基づくサービスで、知的障害または精神障害により行動上著しい困難があり、常時介護を要する人に対し、外出時の危険を回避するための援護や移動の介護を行うものである。この事例の状態には該当しない。
同行援護は、視覚障害により移動に著しい困難がある人に対し、外出時に同行して移動の援護や情報の提供を行うサービスである。該当しない。
共同生活援助(グループホーム)は、障害のある人が共同生活を営む住居で、相談や日常生活上の援助を受けるサービスである。生活の場を必要とする人には有用だが、この事例では一人暮らしの継続を希望しており、本人の希望と合わない。
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混同しやすいポイント
誤肢はすべて障害者総合支援法のサービスであり、それぞれ対象が明確に定められている。行動援護=行動上の著しい困難、同行援護=視覚障害、共同生活援助=住まいの提供。いずれもこの事例の状態と希望に合わない。本人が何を望んでいるか(一人暮らしの継続、復学)を読むことが、選択の軸になる。
理解を深める
依存症からの回復は、断ち続けることだけを指すのではなく、その人が生きやすくなることを含む。専門的な治療としては、認知行動療法に基づくプログラム、動機づけ面接、外来と入院のプログラムがある。行政の窓口としては、精神保健福祉センターと保健所が相談を受け、家族向けのプログラムも実施している。自助グループには、当事者のグループのほか、家族のグループ(断酒会の家族部会、アラノン、ナラノン)もあり、家族自身の回復を支える。この事例では、母親が心配して訪問し発見しているという経過があり、家族も支援の対象になる。復学については、大学の学生相談室や保健管理センターとの連携が有効になる。再使用(スリップ)は回復の過程で起こりうるものであり、それを失敗として断罪せず、何が引き金になったかを一緒に振り返り、次に活かすという姿勢が、治療の継続につながる。孤立が再使用の最大の要因の一つであるため、つながりを保つことが支援の中心になる。
間違えやすい考え方
社会資源を問う型で、誤肢がすべて対象の異なる障害福祉サービスである。本人の状態と希望で切る。
5分で振り返る
①セルフヘルプグループ=同じ問題を持つ人が体験を分かち合い支え合う場。②依存症の回復では当事者どうしのつながりが重要な役割を果たす。③一人暮らしと復学を続けながら参加できる。④行動援護は行動上の著しい困難、同行援護は視覚障害、共同生活援助は住まいの提供が対象。⑤家族向けの自助グループもある。⑥再使用は失敗ではなく、引き金を振り返って次に活かす。⑦孤立が再使用の大きな要因、つながりを保つことが支援の中心。
1分チェック
- 依存症からの回復に有効な資源は。→ セルフヘルプグループ(当事者どうしのつながり)。
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