次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(65歳、女性)は、夫と2人で暮らしている。友人の死去後、食事量が減り、1か月前から気分の落ち込みが強くなった。夫が積極的に散歩に誘っても、Aさんは「体がだるい」「何をしても意味がない」と話し、寝つきも悪くなり、日中ほとんどの時間を臥床して過ごすようになった。心配した夫に連れられて精神科外来を受診したところ、うつ病〈depression〉と診断され、選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉と不眠時の睡眠薬が処方された。夫から精神科外来の看護師に「日常生活で気を付けることはありますか」と質問があった。
A さんは要介護2の認定を受け、介護サービスを検討することになった。体調 が良いときは、夫の料理を手伝ったり散歩に出かけている。排泄や着替えは時間を かけて1人で行えるが、入浴は夫の介助が必要である。夫は「入浴のサポートを受 けたり、自分が不在のときに泊まれる場所はないか」と話している。外来看護師が A さんの希望を聞くと「人が多い場所は苦手です。家の近くで好きなときに通えた り、家に来てもらえると安心です」と話した。 A さんに紹介するサービスで適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
血管性認知症で要介護2、入浴に夫の介助が必要で、夫が不在時に泊まれる場所を求めており、本人は「人が多い場所は苦手、家の近くで好きなときに通えたり家に来てもらえると安心」と話す場面で紹介するサービスを問う。小規模多機能型居宅介護である。
この問題で問われていること
本人と家族の希望を、サービスの機能と対応づけられるか。
しくみから理解する
小規模多機能型居宅介護は、「通い」を中心に、必要に応じて「訪問」と「泊まり」を組み合わせて提供する地域密着型サービスである。登録定員が少なく(29人以下)、通いの利用定員も1日あたり18人以下と小規模で、同じ事業所の同じ職員が3つの形態を担う。この事例の希望に一つずつ対応する。夫が不在のときに泊まれる(泊まり)、入浴の支援を受けられる(通いまたは訪問)、家の近く(地域密着型で日常生活圏域が単位)、好きなときに通える(回数の制限が緩やかで柔軟)、家に来てもらえる(訪問)、人が多い場所は苦手(小規模で顔なじみの関係)。すべてを満たすサービスになる。
選択肢ごとの確認
認知症対応型通所介護は、認知症のある人を対象とした通所サービスで、少人数で手厚い支援が受けられる。しかし通いのみであり、泊まりと訪問の機能がない。夫が不在のときに泊まれる場所という希望に応えられない。
自立訓練は、障害者総合支援法に基づくサービスで、身体機能や生活能力の維持向上のための訓練を行う。65歳で要介護2の認定を受けているこの事例では、原則として介護保険のサービスが優先される。
療養介護は、障害者総合支援法に基づき、医療を要する障害者で常時介護を要する人に、主として昼間、病院で提供されるサービスである。この事例の状態と希望に合わない。
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混同しやすいポイント
本人と家族の希望が、設問文に具体的に列挙されている。泊まれる場所、入浴の支援、家の近く、好きなときに通える、家に来てもらえる、人が多い場所は苦手。これらを一つずつ満たすかを確認していけば、通い・訪問・泊まりを一体的に提供する小規模多機能型居宅介護に絞られる。設問文の希望を要件のリストとして読むことが要点になる。
理解を深める
小規模多機能型居宅介護に訪問看護を加えたものが看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)で、医療的な管理が必要な人に適する。小規模多機能型居宅介護を利用する場合、月額の包括報酬となり、利用回数によらず定額であるため、状態の変化に応じて柔軟に回数を増減できる利点がある。一方、同一事業所がケアプランも作成するため、担当の介護支援専門員が変わること、また訪問看護や福祉用具など一部を除き、他の居宅サービスとの併用が制限される点は、説明しておく必要がある。認知症のある人にとって、なじみの職員となじみの場所で過ごせることは、混乱を減らし安心につながる。通い、泊まり、訪問が同じ職員によって提供されることは、この点で大きな意味を持つ。この事例では、本人が「人が多い場所は苦手」と述べており、小規模であることが希望に合致する。家族の介護負担の軽減(レスパイト)と、本人の生活の継続を同時に支えられる点も、このサービスの特徴になる。
間違えやすい考え方
サービスを問う型で、誤肢が機能の一部しか満たさないものと別法のサービスである。希望を要件として一つずつ照合する。
5分で振り返る
①小規模多機能型居宅介護=通いを中心に訪問と泊まりを組み合わせる地域密着型サービス。②同じ事業所の同じ職員が担い、なじみの関係が保てる。③登録定員29人以下、通いは1日18人以下と小規模。④月額包括報酬で回数を柔軟に増減できる。⑤認知症対応型通所介護は通いのみで泊まりと訪問がない。⑥訪問看護を加えたものが看護小規模多機能型居宅介護。⑦ケアプランは同一事業所が作成し、他の居宅サービスとの併用に制限がある。
1分チェック
- 通い・訪問・泊まりを柔軟に組み合わせられるサービスは。→ 小規模多機能型居宅介護。
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