免疫抑制作用があるのはどれか。
公式正答:4
解説
免疫抑制作用をもつ薬物を問う。副腎皮質ステロイドが該当する。
この問題で問われていること
代表的な薬物の作用の方向(免疫を抑えるか、高めるか、補うか)を区別できるか。
しくみから理解する
副腎皮質ステロイドは、細胞内の受容体と結合して核内へ移行し、炎症性サイトカインやケモカインの遺伝子発現を抑制する。その結果、リンパ球の機能低下、好中球の遊走抑制、マクロファージの活性低下が起こり、強力な抗炎症作用と免疫抑制作用を示す。自己免疫疾患、臓器移植後の拒絶反応抑制、重症のアレルギー疾患などに用いられる。重要な注意点として、白血球の『働き』は抑えるが、末梢血の白血球数はむしろ増加する。これは骨髄からの動員と血管壁への接着の抑制によるもので、検査値をみて『免疫が保たれている』と誤読しないことが臨床上の要点になる。
選択肢ごとの確認
ヒスタミンH1受容体を遮断してアレルギー症状を抑える薬で、免疫そのものを抑制するわけではない。第一世代では中枢移行による眠気が副作用となる。
ウイルス感染時に免疫細胞から分泌されるサイトカインで、免疫を賦活する方向に働く。B型・C型肝炎などに用いられてきた。
免疫グロブリン製剤には2つの用法がある。一つは抗体の補充で、無ガンマグロブリン血症などに用いる。もう一つは大量に投与して免疫の働きを調整するもので、川崎病、特発性血小板減少性紫斑病、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎などに用いる。いずれにせよ、副腎皮質ステロイドのような免疫抑制とは働きが異なる。
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混同しやすいポイント
『免疫を抑える/高める/補う』の3方向を取り違えやすい。インターフェロンは免疫を高める側になる。免疫グロブリンには、抗体を補充する用法と、大量に投与して免疫の働きを調整する用法があり、いずれも副腎皮質ステロイドのような免疫抑制とは働きが異なる。また抗ヒスタミン薬は『アレルギーを抑える=免疫を抑える』と短絡しやすいが、受容体遮断であって免疫抑制ではない。
理解を深める
副腎皮質ステロイドの副作用は国家試験の頻出項目である。易感染性、高血糖、骨粗鬆症、消化性潰瘍、満月様顔貌・中心性肥満などのCushing様症状、精神症状、緑内障・白内障、創傷治癒の遅延がある。長期投与中の急な中止は、視床下部-下垂体-副腎系の抑制により急性副腎不全(ステロイド離脱症候群)を招くため、必ず漸減する。看護では感染徴候の観察が最優先だが、ステロイド使用下では発熱が出にくく炎症所見がマスクされるため、微熱や倦怠感などのわずかな変化を捉える必要がある。
間違えやすい考え方
4肢すべてが免疫に関わる薬で、方向を意識せずに『免疫』という語だけで選ぶと外す。作用の向きを1語で添えて覚える。
5分で振り返る
①ステロイドは抗炎症・免疫抑制。②白血球の働きは抑えるが白血球数は増える。③インターフェロンは免疫賦活。④免疫グロブリンは、抗体の補充として用いるほか、大量投与により免疫の働きを調整する用法がある(川崎病、特発性血小板減少性紫斑病、ギラン・バレー症候群など)。⑤抗ヒスタミン薬は受容体遮断で眠気に注意。⑥急な中止は急性副腎不全。
1分チェック
- 免疫抑制作用があるのはどれか。→ 副腎皮質ステロイド。
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