誤嚥のリスクがある患者の食事援助で適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
誤嚥のリスクがある患者の食事援助で適切なものを問う。食事中は頸部前屈位をとる。
この問題で問われていること
嚥下のメカニズムに基づいて、安全な体位と食形態を選べるか。
しくみから理解する
頸部を前屈させると、喉頭が前上方へ移動しやすくなり、喉頭蓋が気管入口を確実に覆う。同時に咽頭と気管の角度がつくため、食塊が気管へ流入しにくくなる。逆に頸部が後屈(伸展)すると気道が直線化し、食塊がそのまま気管へ落ち込みやすい。顎引きは一部の嚥下障害で有効だが、病態によっては残留や誤嚥を増やす。食事時の頭頸部角度は嚥下評価に基づいて個別に決め、全員の基本姿勢として固定しない。
選択肢ごとの確認
細かく刻んだ食品は口腔内でばらけて食塊にまとまりにくく、まとまらないまま咽頭へ落ちるため、かえって誤嚥しやすい。適するのはとろみをつけた食品やゼリー状・ペースト状など、まとまりがあって滑りのよい形態である。
餅や団子のように粘着性が高い食品は、咽頭や口蓋に貼り付いて窒息の原因になる。適度なとろみは有用だが、強い粘着性は危険である。
逆で、食後は30分〜1時間程度、坐位またはファウラー位を保つ。すぐに臥床すると胃内容が逆流し、就寝中の誤嚥性肺炎の原因になる。
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混同しやすいポイント
『きざみ食は嚥下障害によい』という思い込みが最大の落とし穴。きざみ食は咀嚼が困難な人向けであって、嚥下が困難な人向けではない。咀嚼の問題と嚥下の問題を分けて考える。またとろみは『つければつけるほど安全』ではなく、濃すぎると咽頭残留を増やす。
理解を深める
嚥下は先行期・準備期・口腔期・咽頭期・食道期の5期に分けられる。誤嚥は主に咽頭期の障害で起こる。評価には反復唾液嚥下テスト(RSST)、改訂水飲みテスト(MWST)、フードテストがあり、確定にはビデオ嚥下造影(VF)や嚥下内視鏡(VE)を用いる。看護では食事前の口腔ケアが誤嚥性肺炎の予防に有効であることが重要で、口腔内細菌数を減らすことが肺炎発症率を下げる。また高齢者では発熱や咳がはっきりしない不顕性誤嚥が多く、食欲低下や活気のなさだけが所見のこともある。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢がいずれも一見すると配慮しているように見える。きざみ食・粘り気・食後臥床はどれも『やさしそう』だが、機序で考えると全部逆になる。見た目の親切さでなく機序で判断する。
5分で振り返る
①頭頸部姿勢は嚥下評価に基づいて個別に決める。顎引きは一部に有効だが全員に適するわけではない。③きざみ食はばらけて危険、適度なとろみが有効。④強い粘着性は窒息のリスク。⑤食後は30分〜1時間坐位を保つ。⑥食前の口腔ケアが肺炎予防に有効。
1分チェック
- 誤嚥予防の食事姿勢は。→ 嚥下評価に基づき個別に調整する(顎引きは適応がある場合に用いる)。
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