骨格筋の収縮で正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
骨格筋の収縮について正しいものを問う。ミオシンフィラメントの長さは変化しない。
この問題で問われていること
滑走説(sliding filament theory)を正確に理解しているか。フィラメント自体が縮むのではないという点が核心。
しくみから理解する
骨格筋の収縮は、太いミオシンフィラメントと細いアクチンフィラメントが互いに滑り込むことで起こる。ミオシン頭部がアクチンに結合してクロスブリッジを形成し、首を振るように動いてアクチンを筋節の中央へ引き込む。このときフィラメント自体の長さは変わらず、重なり合いが増えることで筋節(サルコメア)が短縮する。したがってZ帯どうしの間隔とI帯は短くなるが、ミオシンの長さを反映するA帯の幅は変化しない。エネルギーはミオシン頭部が持つATPアーゼによってATPから供給される。
選択肢ごとの確認
ATPを分解するのはミオシン頭部のATPアーゼである。アクチンはミオシンが結合する足場であり、それ自体がATPを消費するのではない。
骨格筋の収縮を起こすカルシウムは、細胞内に蓄えられた筋小胞体に由来する。細胞外カルシウムの流入を必要とするのは心筋(カルシウム誘発性カルシウム放出)と平滑筋であり、骨格筋との違いとして問われやすい。
逆で、収縮はエネルギーを消費する過程であり、貯蔵されていたグリコゲンは分解されて消費される。蓄積されるのは休息と栄養摂取の後である。
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混同しやすいポイント
『筋が縮む』という日常的な感覚から、フィラメントも縮むと考えてしまうのが最大の誤解である。縮むのは筋節であってフィラメントではない。またカルシウムの出所が骨格筋(筋小胞体)と心筋・平滑筋(細胞外も関与)で異なる点は、心筋の問題と合わせて頻出になる。
理解を深める
収縮の一連の流れは、運動神経終末からのアセチルコリン放出、終板電位の発生、筋線維膜の活動電位、T管を介した興奮の伝導、筋小胞体からのカルシウム放出、トロポニンCへのカルシウム結合、トロポミオシンの移動によるアクチン結合部位の露出、クロスブリッジ形成、という順になる。弛緩時にはカルシウムポンプがATPを使ってカルシウムを筋小胞体へ回収する。死後硬直はATPが枯渇してクロスブリッジが外れなくなるために起こり、この機序を知っていると収縮と弛緩の両方にATPが要ることが理解できる。
間違えやすい考え方
『正しいのはどれか』型で、誤肢が『主語のすり替え』(アクチンとミオシン)、『細胞の種類のすり替え』(骨格筋と心筋)、『方向のすり替え』(消費と蓄積)で作られている。どれも一語変えれば正しくなる形。
5分で振り返る
①滑走説=フィラメントは滑るが縮まない。②ATPを分解するのはミオシン頭部。③骨格筋のカルシウムは筋小胞体から。④A帯は不変、I帯とZ帯間は短縮。⑤弛緩にもATPが必要(死後硬直)。
1分チェック
- 収縮時に長さが変わらないのは何か。→ ミオシン(およびアクチン)フィラメント。短くなるのは筋節。
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