痛みの伝導で正しいのはどれか。
公式正答:4
解説
痛覚は脊髄後角で乗り換えてすぐ反対側へ交叉し、脊髄視床路を上行して視床でもう一度乗り換え、体性感覚野へ届く。触覚・深部感覚とは通る道も交叉する高さも違う。
この問題で問われていること
痛覚の経路を、後索-内側毛帯路(触覚・深部感覚)と区別できるか。交叉の高さとシナプスの場所が分かれ目になっている。
しくみから理解する
痛みを受け取る自由神経終末からの一次ニューロンは、細くて伝導の速いAδ線維(鋭い痛み)と、無髄で最も遅いC線維(鈍く続く痛み)である。これらは後根から脊髄に入り、後角で二次ニューロンにシナプスを作る。二次ニューロンは1〜2髄節以内に前交連で反対側へ交叉し、脊髄視床路(前外側路)を上行して視床(後外側腹側核)で三次ニューロンに乗り換え、大脳の体性感覚野へ届く。これに対し触覚と深部感覚は、一次ニューロンがそのまま後索を上行して延髄の後索核で初めてシナプスを作り、そこで交叉して内側毛帯となり視床へ向かう。 【接地元】ガイトン生理学 第48章 体性感覚:機構の概要、触覚と位置感覚、第49章 体性感覚:痛み、頭痛、温度感覚
選択肢ごとの確認
痛覚を伝えるAδ線維は毎秒5〜30m、C線維は毎秒0.5〜2mで、運動ニューロン(Aα線維、毎秒70〜120m)よりずっと遅い。神経線維は太くて髄鞘が厚いほど速く、痛覚線維は細い。
痛覚は脊髄後角で乗り換えたあとすぐ反対側へ交叉し、対側を上行する。だから脊髄の片側が切れると、痛覚は反対側の体で失われる(ブラウン・セカール症候群)。
延髄でシナプスを作るのは触覚・深部感覚の後索-内側毛帯路。痛覚は脊髄後角ですでに乗り換えているので、延髄では乗り換えない。
脊髄視床路を上行した二次ニューロンは視床で三次ニューロンにシナプスを作り、体性感覚野へ向かう。
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混同しやすいポイント
痛覚と触覚の経路をひとまとめに覚えると必ず外す。分かれ目は交叉の高さ。痛覚・温度覚は脊髄(入ってすぐ)で交叉、触覚・深部感覚は延髄で交叉。この一点だけ押さえれば、ブラウン・セカール症候群で「同側の運動麻痺と深部感覚障害、対側の痛覚・温度覚障害」が出る理由まで説明できる。
理解を深める
痛みの二相性も経路の違いで説明できる。ぶつけた直後の鋭い痛みはAδ線維、その後にじわじわ続く痛みはC線維による。C線維の痛みは局在がはっきりせず、自律神経反応(血圧上昇・悪心)を伴いやすい。また脊髄後角には下行性疼痛抑制系(中脳水道周囲灰白質→縫線核→後角)が働いていて、内因性オピオイドがここで痛みの伝達を抑える。ゲートコントロール理論で、患部をさするとAβ線維の入力が後角で痛みの伝達を抑えるとされるのも同じ場所での出来事である。
間違えやすい考え方
2つの上行路(脊髄視床路と後索-内側毛帯路)の特徴を1つずつ入れ替えて誤肢を作る型。「どこで乗り換えるか」「どこで交叉するか」を経路ごとに表にしておけば全部さばける。
5分で振り返る
痛覚・温度覚=脊髄視床路:一次ニューロン(Aδ・C)→後根→脊髄後角でシナプス→1〜2髄節内で対側へ交叉→脊髄視床路を上行→視床でシナプス→体性感覚野。触覚・深部感覚=後索-内側毛帯路:一次ニューロンがそのまま後索を上行→延髄の後索核でシナプス→そこで交叉→内側毛帯→視床→体性感覚野。交叉の高さが脊髄か延髄かが最大の違い。神経線維は太いほど速く、痛覚線維は運動線維より遅い。
1分チェック
- 痛覚はどこで二次ニューロンに乗り換えるか
- 痛覚が交叉するのはどの高さか
- 触覚・深部感覚が乗り換え交叉するのはどこか
- Aδ線維とC線維の痛みの違いは何か
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