pulmonary thromboembolism 肺血栓塞栓症の確定診断に用いるのはどれか。
公式正答:1
解説
肺血栓塞栓症で用いる血液検査を問う。Dダイマーである。
この問題で問われていること
凝固・線溶系の検査項目が、それぞれ何を反映するかを区別できるか。
しくみから理解する
Dダイマーは、いったん形成されたフィブリン血栓がプラスミンによって分解(線溶)されたときに生じる分解産物である。したがって体内のどこかに血栓ができ、それが溶かされている状態を反映する。肺血栓塞栓症や深部静脈血栓症では血栓量が多いためDダイマーが上昇する。臨床的な使い方としては、陰性であれば血栓症をほぼ否定できるという除外診断の価値が高い一方、手術後、外傷、感染症、悪性腫瘍、妊娠など血栓以外の要因でも上昇するため、陽性であることが直ちに診断を確定するわけではない。確定は造影CT(肺動脈造影CT)や肺換気血流シンチグラフィによる。
選択肢ごとの確認
赤血球の酸素運搬能を反映し、貧血の指標となる。血栓の存在を反映しない。
外因系凝固の検査で、肝機能やワルファリンの効果判定に用いる。血栓ができているかではなく、固まりやすさ(凝固能)を測る指標である。
内因系凝固の検査で、ヘパリンの効果判定や血友病の評価に用いる。これも凝固能の指標であり、血栓の存在そのものは示さない。
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混同しやすいポイント
PT・APTTは『固まる能力』を測る検査、Dダイマーは『固まったものが溶けた痕跡』を測る検査、という違いが要点である。PTやAPTTが正常でも血栓症は起こりうる。なお設問文は『確定診断に用いる』としているが、Dダイマー単独で確定するわけではなく、4肢の中で肺血栓塞栓症に直接関連する検査という意味で選ぶ。臨床的には画像検査が確定診断の手段である。
理解を深める
肺血栓塞栓症は、深部静脈血栓症で生じた血栓が遊離して肺動脈を閉塞する病態である。突然の呼吸困難、胸痛、頻呼吸、SpO2低下で発症し、大きな塞栓では右心不全からショック、心停止に至る。危険因子は長期臥床、手術、悪性腫瘍、経口避妊薬、妊娠、脱水などVirchowの3徴に対応する。予防が最も重要で、早期離床、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫法、抗凝固療法を行う。看護では、臥床していた患者が初めて立ち上がる場面(トイレ歩行、リハビリ開始時)が発症の契機になりやすいことを意識し、離床時の呼吸状態を注意深く観察する。
間違えやすい考え方
検査名を並べる問題で、名前からは何を測るか分からない。『凝固能を測るのか、血栓の痕跡を測るのか』という軸で整理していないと選べない。
5分で振り返る
①Dダイマー=フィブリン分解産物、血栓の存在を反映。②陰性なら除外価値が高いが陽性は特異的でない。③PTは外因系・ワルファリン。④APTTは内因系・ヘパリン。⑤確定は造影CT。⑥離床時の発症に注意。
1分チェック
- 肺血栓塞栓症で上昇する血液検査は何か。→ Dダイマー。
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