A さん(80 歳、男性)は人工肛門造設術を受けて自宅に退院した。ストーマ管理 のため、訪問看護を週に1 回利用している。A さんは電車で隣県に住んでいる孫 に会いに行きたいと希望している。 A さんの外出に向けた目標で最も適切なのはどれか。
公式正答:2
解説
人工肛門を造設した高齢患者が電車で遠方へ外出することを希望している場面で、外出に向けた目標として最も適切なものを問う。装具が剝がれた場合に対処できることである。
この問題で問われていること
その人の目標(電車での遠出)を達成するために、何ができれば安心して外出できるかを具体的に考えられるか。
しくみから理解する
外出、とくに公共交通機関での長時間の移動では、自宅のように落ち着いて対処できる環境がない。ストーマ装具のトラブルで最も困るのは、装具が剝がれて排泄物が漏れることであり、これが起きると衣類の汚染と強い羞恥、そして外出自体の断念につながる。したがって、外出という目標に直結するのは、万一剝がれたときに自分で対処できること、すなわち予備の装具を携行し、多目的トイレなどで交換できることである。これができれば、トラブルが起きても外出を続けられるため、行動範囲が実際に広がる。
選択肢ごとの確認
ストーマ造設後に食物繊維を一律に避ける必要はない。術直後や回腸ストーマでは、繊維の多い食品が閉塞(フードブロッケージ)の原因になることがあるため注意するが、長期的にはバランスのよい食事が基本である。外出の目標としても適切ではない。
日常管理として重要な知識であり誤りではないが、『理解できる』という認知レベルの目標であり、外出時のトラブルに対処するという行動には直結しない。設問が外出に向けた目標を問うている点で優先度が下がる。
継続的な生活には必要な情報だが、外出中に生じる事態への対処ではない。目標と場面の対応がずれている。
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混同しやすいポイント
誤肢3つはいずれもストーマケアの指導内容として正しいものである。設問が『外出に向けた』と場面を限定しているため、その場面で実際に必要になる能力を選ぶ。看護目標は『何のための目標か』という文脈で優先順位が変わることを示す典型的な問題である。
理解を深める
外出支援では、装具の予備一式(面板、袋、はさみ、ゴミ袋、清拭用品)の携行、オストメイト対応トイレの場所の確認、装具交換のタイミング(排泄の少ない時間帯を選ぶ)、衣類の工夫を具体的に一緒に計画する。オストメイト対応トイレは高速道路のサービスエリア、駅、公共施設などに設置が進んでおり、ヘルプマークやオストメイト用設備の情報も活用できる。また、身体障害者手帳の交付対象(膀胱または直腸機能障害)となり、日常生活用具の給付が受けられることも情報提供する。高齢者では手指の巧緻性や視力の低下により交換が難しくなることがあり、家族への指導や訪問看護の導入も検討する。
間違えやすい考え方
『最も適切なのはどれか』型で、誤肢もすべて正しい指導内容である。設問の場面(外出・電車・遠方)を読んで、そこで必要になるものを選ぶ。場面を無視すると全部正しく見える。
5分で振り返る
①外出では装具トラブルへの対処が要点。②予備装具の携行とオストメイト対応トイレの確認。③食物繊維は一律に避けない(回腸ストーマでは閉塞に注意)。④身体障害者手帳と日常生活用具の給付が利用できる。⑤目標は場面によって優先順位が変わる。
1分チェック
- ストーマ保有者の外出目標として最も直結するのは何か。→ 装具が剝がれたときに自分で対処できること。
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