意思決定が困難な成人患者の代理意思決定で適切なのはどれか。
公式正答:2
解説
意思決定が困難な成人患者の代理意思決定で適切なものを問う。患者の意思を推定して判断することである。
この問題で問われていること
代理意思決定の原則が『代理人の考え』ではなく『本人の意思の推定』であることを理解しているか。
しくみから理解する
本人が意思を表明できない場合、代理で判断する者に求められるのは、自分ならどうするかではなく、本人であればどう考えたかを推定することである。これを推定意思の尊重という。厚生労働省の人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインでも、本人の意思が確認できない場合には、家族等が本人の意思を推定できるならその推定意思を尊重し、本人にとって最善の方針をとることが基本とされている。推定の材料は、過去の言動、価値観、生活史、これまでの選択などである。
選択肢ごとの確認
医療者が代理人を指名するのではない。本人があらかじめ指定していればその者を、いなければ本人をよく知る家族等が関与する。誰と話し合うかも本人の意向を軸に考える。
変更できる。本人の状態や病状は変化し、それに伴って最善の方針も変わりうる。ガイドラインは、話し合いを繰り返し行うこと、内容を文書にまとめておくことを求めており、一度決めたら固定するという考え方をとらない。
含まれうる。ガイドラインでいう『家族等』は法的な親族に限らず、本人が信頼を寄せ、本人をよく知る者を広く含む。身寄りのない人が増えている現状にも対応した考え方である。
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混同しやすいポイント
代理意思決定と、本人の事前の意思表示(リビングウィル、事前指示)は別のものである。事前指示がある場合はそれが第一の手がかりになる。また『家族の意向』と『本人の推定意思』は一致しないことがあり、その場合に優先されるのは本人の推定意思である。家族の負担にも配慮しつつ、医療・ケアチームで慎重に判断する。
理解を深める
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)は、本人が意思決定できなくなる前に、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合う過程を指す。重要なのは書面を作ることではなく、話し合いの過程そのものであり、本人の価値観や大切にしていることを共有しておくことが、いざというときの推定を助ける。看護師は、日常の会話の中で本人の希望や思いを聞き取り、記録し、チームで共有する立場にある。判断能力の評価も重要で、意思決定能力は『あるかないか』の二分ではなく、事柄ごと・時点ごとに変わりうるため、能力を高める支援(分かりやすい説明、体調のよい時間を選ぶ)を先に行う。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢が『医療者が決める』『変更不可』『友人は除外』と、いずれも本人中心の原則から外れる方向に作られている。原則を1つ持っていれば全部落とせる。
5分で振り返る
①基準は本人の推定意思(代理人自身の考えではない)。②推定の材料は過去の言動・価値観・生活史。③代理人は医療者が指名しない。④決めた内容は変更できる、話し合いは繰り返す。⑤『家族等』には親しい友人も含みうる。⑥根拠は厚労省ガイドライン。
1分チェック
- 代理意思決定で基準となるのは何か。→ 本人の推定意思。
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