A さん(70 歳)は cerebral infarction 脳梗塞の後遺症で片麻痺があり、要支援2 と認定された。杖で 歩行しており、尿意はある。リハビリテーション病院から介護施設に入所すること になった。 A さんの排泄に関する支援で適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
脳梗塞後遺症で片麻痺があり杖歩行、尿意のある要支援2の高齢者に対する排泄支援を問う。トイレ移動時は滑り止めのついた靴を履くよう指導することである。
この問題で問われていること
残存機能を活かすという原則に立って、その人の状態に合った支援を選べるか。
しくみから理解する
この人は尿意があり、杖で歩行できる。つまり自分でトイレへ行って排泄する能力が残っている。看護の原則は残存機能を活かして自立を保つことであり、能力を奪う援助は避ける。この状態で最も現実的なリスクは、トイレへの移動中の転倒である。片麻痺があると立位バランスが不安定で、方向転換や便座への移乗の場面で転倒しやすい。滑り止めのついた靴は、足元の安定を確保して転倒を防ぎ、かつ本人がトイレで排泄するという自立を維持できる支援である。
選択肢ごとの確認
時間排尿誘導は、尿意が明確でない人や認知機能の低下により訴えられない人に用いる方法である。尿意があるこの人には不要であり、本人の感覚に基づく排泄の機会を奪うことになる。
歩行が困難な場合や夜間の安全確保に有用だが、歩ける人に常用させると歩行の機会が減り、下肢筋力の低下と廃用を招く。またにおいや排泄音の問題で尊厳にも関わる。
認知機能の低下や見当識障害でトイレの場所が分からない人に有効な工夫である。この設問では認知機能の障害は示されておらず、必要性が読み取れない。
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混同しやすいポイント
誤肢3つはいずれも排泄援助として実際に行われる正しい方法である。ただし、それぞれ対象が異なる。時間排尿誘導は尿意の訴えがない人、ポータブルトイレは歩行困難な人、目印は見当識障害のある人。設問文に書かれた情報(尿意がある、杖で歩行している、要支援2)から、この人に必要なものを選ぶ。設問の条件を読み落とすと全部正しく見える。
理解を深める
高齢者の転倒は、骨折から寝たきりへ連鎖する重大な問題であり、とくに夜間のトイレ移動時に多い。予防としては、足元灯の設置、動線上の障害物の除去、手すりの設置、適切な履物(かかとのある、滑りにくい、足に合ったもの)、ベッドの高さ調整がある。スリッパやサンダルは脱げやすく転倒の原因になるため避ける。また薬剤(睡眠薬、降圧薬、抗不安薬)による転倒リスクの評価も重要である。排泄の自立は尊厳に直結するため、安全を確保しながら自分で行える形をできるだけ長く保つことが支援の基本方針になる。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢が『別の対象には正しい援助』で構成されている。設問に書かれた条件(尿意がある・歩ける)が答えを決める。
5分で振り返る
①残存機能を活かし自立を保つのが原則。②尿意があれば時間排尿誘導は不要。③歩けるならポータブルトイレの常用は廃用を招く。④目印は見当識障害への対応。⑤夜間のトイレ移動が転倒の好発場面。⑥スリッパは避ける。
1分チェック
- 尿意があり歩ける片麻痺高齢者への排泄支援は何か。→ 転倒を防いでトイレでの自立を保つ(滑り止めのある靴)。
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