母乳栄養を希望している母親への説明で適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
母乳栄養を希望する母親への説明で適切なものを問う。納豆を多く摂取するよう勧めることである。
この問題で問われていること
母乳の成分の特徴と、そこから導かれる母体の食事・生活の助言を理解しているか。
しくみから理解する
母乳はビタミンKの含有量が少ない。ビタミンKは肝臓で血液凝固因子(第II・VII・IX・X因子)を合成するのに必要で、不足すると出血傾向を生じる。新生児は、もともと胎盤を通過するビタミンKが少なく、腸内細菌叢が未発達で腸内での産生も乏しいため、欠乏に陥りやすい。これが新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症(消化管出血や頭蓋内出血)である。納豆は納豆菌が産生するビタミンK2を豊富に含む食品であり、母親が摂取することは母乳を介した供給につながる。なお日本では、児に対してビタミンK2シロップを出生後から生後3か月まで週1回投与する方法が広く行われている。
選択肢ごとの確認
アルコールは母乳へ移行し、児の睡眠や発達に影響を及ぼすほか、母親の乳汁分泌(オキシトシン分泌)も抑制する。授乳期の飲酒は勧められない。
乳児の皮膚は薄く角層が未熟で、紫外線の影響を受けやすい。日焼けは推奨されない。ビタミンDのために日光浴が必要という考えはかつてあったが、現在は直射日光を避け、外気浴や衣類・日焼け止めによる保護が指導される。
カフェインは母乳へ移行し、児の不眠や興奮を招くことがある。乳児はカフェインの代謝が遅く体内に蓄積しやすい。授乳中はカフェイン摂取を控えめにすることが勧められる。
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混同しやすいポイント
『母乳に不足しやすいのはビタミンK』という一点が核心である。母乳は多くの成分が乳児に最適化されているが、ビタミンKと、条件によってはビタミンD・鉄が不足しうる。鉄は生後6か月頃から母体由来の貯蔵鉄が減るため離乳食での補給が重要になる。この3つを区別して覚える。
理解を深める
母乳育児の利点には、免疫グロブリンA(IgA)やラクトフェリンによる感染防御、消化吸収のよさ、母子相互作用の促進、母体の子宮復古促進などがある。一方、授乳が禁忌または注意を要する場合として、母体のHTLV-1感染、HIV感染、活動性結核、特定の薬剤使用がある。薬剤については、多くが安全に使用できるが自己判断で中断せず医師・薬剤師に確認するよう伝える。喫煙は母乳中にニコチンが移行し、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクも高めるため、本人だけでなく家族の禁煙も支援する。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢が『飲酒』『日焼け』『大量のカフェイン』と、明らかに勧められないものになっている。ただし正答の『納豆』は、理由(ビタミンK)を知らないと唐突に見える。理由まで押さえておく。
5分で振り返る
①母乳はビタミンKが少ない。②新生児は胎盤通過が少なく腸内産生も乏しい。③欠乏で新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症(頭蓋内出血)。④児にはK2シロップを投与。⑤アルコール・大量カフェイン・喫煙は避ける。⑥直射日光は避ける。
1分チェック
- 母乳に不足しやすいビタミンは何か。→ ビタミンK(納豆に豊富)。
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