A さんは大地震で被災し、負傷者や亡くなった人を多く目撃した。1 か月後、 避難所を巡回していた看護師に、自分だけが生き残って申し訳ないと感じていると 話した。 A さんへの声かけで適切なのはどれか。
公式正答:2
解説
大地震で被災し「自分だけが生き残って申し訳ない」と話す人への声かけを問う。「そう感じるのは正常な反応ですよ」である。
この問題で問われていること
災害後の心理反応を病理としてではなく正常な反応として扱い、それを言葉で保証できるか。
しくみから理解する
自分だけが助かったことへの罪責感は、サバイバーズギルト(生存者の罪悪感)と呼ばれ、災害や事故の生存者に広くみられる反応である。異常な出来事に対する正常な反応であることを伝えること(ノーマライゼーション)は、心理的応急処置の基本要素であり、本人が『自分はおかしくなったのではないか』という二次的な不安を抱えずにすむ。同時に、その感情を否定せず、話せる場があることを保証する意味を持つ。1か月という時点は、多くの人で反応が続いている時期であり、直ちに病的とは判断しない。
選択肢ごとの確認
本人の罪責感を否定し、感じ方を修正しようとする言葉である。亡くなった人がいる状況で『幸せ』と言われることは、本人の感情を軽んじられたと受け取られる。
体験を語ることを封じる言葉であり、回復を妨げる。無理に忘れようとすることは、かえって侵入的想起を強めることが知られている。
すでに限界にある人への励ましは重荷になり、弱音を言えなくさせる。『乗り越えなければならない』という規範を押しつけることにもなる。
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混同しやすいポイント
誤肢はいずれも善意から出そうな言葉であり、日常会話では自然に見える。しかし共通しているのは、本人の感情を否定するか、変えさせようとしている点である。支援の基本は、感情を否定せず、そのまま受けとめて言語化を支えることにある。
理解を深める
災害後の反応は時間経過とともに変化する。急性期には茫然自失、否認、過覚醒がみられ、その後、悲嘆、怒り、罪責感、抑うつが現れる。多くは時間とともに回復するが、1か月以上にわたって侵入的想起、回避、過覚醒、認知と気分の陰性の変化が続き、生活に支障がある場合は心的外傷後ストレス障害(PTSD)を考え専門的治療につなぐ。支援者自身も二次的外傷性ストレスを受けるため、活動時間の管理、チーム内での共有、休息の確保が必要である。心理的デブリーフィング(体験を強制的に語らせる集団介入)は、かえって症状を悪化させる可能性が指摘されており推奨されない。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢が日常的な励ましや慰めの言葉になっている。『言いたくなる言葉』が支援として適切とは限らない、という構造。
5分で振り返る
①サバイバーズギルトは災害後の正常な反応。②ノーマライゼーション(正常な反応だと伝える)が基本。③感情を否定しない、忘れさせようとしない、励まさない。④1か月以上続き生活に支障があればPTSDを考える。⑤心理的デブリーフィングは推奨されない。⑥支援者自身のケアも必要。
1分チェック
- サバイバーズギルトを訴える人への声かけは何か。→ 正常な反応であると保証する。
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