4 人の小児の入院患者を受け持っている日勤の看護師が、患者に付き添っている 母親から立て続けにナースコールを受けた。 訪室の優先順位が高いのはどれか。
公式正答:2
解説
4人の小児患者から立て続けにナースコールを受けた場面で、訪室の優先順位が高いものを問う。化学療法中の7歳児で点滴刺入部が腫れた場合である。
この問題で問われていること
複数の要請に対し、生じうる害の大きさと緊急性で優先順位をつけられるか。
しくみから理解する
化学療法に用いる薬剤の多くは、血管外に漏出すると周囲の組織に強い障害を与える。特に起壊死性抗がん薬(アントラサイクリン系、ビンカアルカロイド系など)では、漏出した部位に潰瘍や壊死を生じ、皮膚移植が必要になることもある。刺入部の腫脹は血管外漏出を強く疑わせる所見であり、時間が経つほど漏出量が増えて障害が拡大する。したがって直ちに滴下を止めて確認する必要があり、4つの中で最も緊急性が高い。
選択肢ごとの確認
対応は必要だが、母親が抱いている状態であり誤嚥の危険は低い。嘔吐そのものは胃腸炎の経過として想定される事象で、清拭と観察、脱水の評価を行う。緊急度は刺入部の腫脹より低い。
終了の連絡であり、輸液ラインの管理として対応が要るが、直ちに害が生じる状況ではない。
ルートは既に体外にあり、薬剤が組織へ漏れる心配はない。出血もないため、止血の確認と刺入部の観察を行えばよい。再挿入の必要性は次の投与予定によるが、緊急ではない。
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混同しやすいポイント
『抜けた』より『腫れた』のほうが緊急、という判断がこの問題の核心である。すでに抜けたルートからは薬剤が組織へ入らないが、腫れているルートは今まさに薬剤が組織へ漏れ続けている可能性がある。進行中の害があるかどうかで優先順位を決める。
理解を深める
血管外漏出を疑ったら、直ちに輸液を中止し、ルートは抜かずに残った薬液をできるだけ吸引してから抜針する。患肢を挙上し、薬剤の種類に応じて冷罨法または温罨法を選ぶ(アントラサイクリン系は冷却、ビンカアルカロイド系は加温が一般的)。範囲をマーキングして経過を観察し、医師に報告して解毒薬の適応を検討する。予防としては、太く弾力のある血管を選ぶ、関節部を避ける、刺入部が見えるように固定する、投与中に定期的に観察する、小児では体動でルートが動きやすいため固定を工夫することが挙げられる。小児は自ら痛みを訴えられないことがあるため、機嫌や表情の変化にも注意する。
間違えやすい考え方
優先順位を問う型で、4肢すべてが対応を要する事象である。『すでに起きて終わったこと』と『今も進行していること』を区別する。
5分で振り返る
①化学療法中の刺入部腫脹=血管外漏出を疑い直ちに中止。②起壊死性抗がん薬は潰瘍・壊死を起こす。③ルートは抜かず残液を吸引してから抜針、患肢挙上。④抜けたルートは漏出の心配がなく緊急度は低い。⑤優先順位は『進行中の害』で判断。
1分チェック
- 点滴刺入部の腫脹はなぜ最優先か。→ 抗がん薬の血管外漏出で組織壊死が進行しうるから。
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