4 人部屋に入院中のA さん(外国籍)は3 日後に手術予定である。A さんは1 日 3 回、決まった時間に毎日病室でお祈りをしている。看護師が訪室したところ、同 室のB さんから「お祈りの声が気になってゆっくり休めない」と相談された。 看護師の対応で適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
外国籍の患者が病室で1日3回の礼拝を行い、同室者から声が気になると相談された場面での対応を問う。礼拝のための場所を別に準備することである。
この問題で問われていること
文化・信仰の尊重と、他の患者の療養環境の確保という二つの要請を両立できるか。
しくみから理解する
宗教的な実践は個人の尊厳と信教の自由に関わるものであり、医療者が制限したり時期をずらすよう求めたりすべきものではない。一方、同室者には静穏な療養環境を得る権利がある。どちらか一方を我慢させるのではなく、環境を調整して両立させることが看護の役割になる。病室とは別に礼拝できる場所を準備すれば、患者は信仰を続けられ、同室者は休息を得られる。多くの病院にある面談室、談話室、静養室などを時間を決めて使う形が現実的である。
選択肢ごとの確認
相談した側に経済的負担を負わせる対応であり、問題の解決を患者に転嫁している。環境調整は医療者の責任で行う。
信仰の実践を制限する対応であり、宗教的配慮に反する。日々の礼拝を手術当日にまとめるという発想自体が、その実践の意味を理解していない。
多数の意見で少数者の信仰の可否を決めることになりかねない。目の前の具体的な調整が求められている場面で、手続きに置き換えて対応を先送りする形にもなる。
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混同しやすいポイント
『どちらかに我慢してもらう』という発想が誤肢1・2・3に共通している。看護の場面では、対立して見える二つの要請を、環境や方法の工夫で両立させられないかをまず考える。文化的配慮は特別扱いではなく、その人にとって当たり前の生活を保つことである。
理解を深める
医療における文化的配慮は、宗教的実践のほか、食事(ハラール、菜食、禁忌食品)、身体接触や露出への抵抗(同性の医療者による対応の希望)、家族の意思決定への関与のあり方、死や病に対する考え方など多岐にわたる。言語の壁も大きく、医療通訳の活用、多言語の説明資料、やさしい日本語の使用が有効である。家族に通訳をさせることは、内容の正確さと本人のプライバシーの両面で問題があるため、可能な限り専門の通訳を用いる。文化を型で決めつけず、その人自身に何を大切にしているかを尋ねる姿勢(文化的謙虚さ)が基本になる。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢が『相談者に負担』『信仰を制限』『多数決に委ねる』と、いずれも一方を犠牲にする形になっている。両立を図る選択肢がひとつだけある。
5分で振り返る
①宗教的実践は制限しない。②同室者の療養環境も守る。③環境調整で両立を図るのが看護の役割。④相談者に費用や我慢を負わせない。⑤多数決で少数者の実践を決めない。⑥医療通訳を活用し家族に通訳させない。
1分チェック
- 信仰の実践と同室者の休息が対立したらどうするか。→ 環境を調整して両立させる(別の場所を準備)。
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