バソプレシンが作用する腎臓の部位はどれか。
公式正答:2
解説
バソプレシン(抗利尿ホルモン)は集合管に働き、水を再吸収させて尿を濃くする。体液量と浸透圧の最終調整をしている。
この問題で問われていること
ネフロンの各部位で何が再吸収されるか、どのホルモンがどこに働くかを言えるか。
しくみから理解する
バソプレシンは視床下部でつくられ下垂体後葉から放出される。血漿浸透圧の上昇や循環血液量の低下が刺激になる。標的は腎臓の集合管(および遠位尿細管の後半)で、細胞内にアクアポリン2という水チャネルを管腔側の細胞膜へ移動させる。すると水が管腔から間質へ再吸収され、尿が濃縮されて尿量が減る。これが抗利尿の作用である。ネフロンの他の部位の役割は、近位尿細管がグルコース・アミノ酸・重炭酸イオンなどの大部分を再吸収し、ヘンレのループが対向流増幅系によって髄質に浸透圧の勾配をつくり、遠位尿細管でアルドステロンがナトリウムの再吸収とカリウムの排泄を調節する。 【接地元】ガイトン生理学 尿の濃縮と希釈・体液浸透圧とナトリウム濃度の調節、解剖学深掘り編(石川先生・腎臓の構造/尿路の解剖)
選択肢ごとの確認
血液を濾過する場所。ホルモンによる水の再吸収は行わない。
バソプレシンがアクアポリン2を膜へ移動させ、水を再吸収させる。
主にアルドステロンが作用してナトリウムの再吸収とカリウムの排泄を調節する。バソプレシンの主な作用部位は集合管。
濾過された物質の大部分(グルコース・アミノ酸・重炭酸イオン・水の約65%)をまとめて再吸収する場所。ホルモンによる細かい調節の場ではない。
下行脚は水を通し上行脚はナトリウムを汲み出すという性質の違いで、髄質に浸透圧の勾配をつくる(対向流増幅系)。この勾配があるからこそ集合管で水が再吸収できる。ループ利尿薬が働くのはここ。
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混同しやすいポイント
ヘンレのループと集合管の役割が連動しているので混同しやすい。ループが「濃縮できる環境をつくる」、集合管が「実際に水を引き込む」という分業。バソプレシンが働くのは後者。
理解を深める
この仕組みが分かると水電解質異常が読める。バソプレシンが出なくなる(あるいは腎が反応しない)と尿崩症になり、大量の薄い尿が出て脱水と高ナトリウム血症をきたす。逆に不適切に多く分泌されるのがSIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)で、水が過剰に再吸収されて低ナトリウム血症になる。両者は「尿量」と「血清ナトリウム」の向きが正反対になるので、この2つの数値で見分けられる。利尿薬の作用部位も対応させておくとよい(ループ利尿薬=ヘンレ上行脚、サイアザイド=遠位尿細管、カリウム保持性=集合管)。
間違えやすい考え方
ネフロンの部位を並べて作用部位を問う型。部位ごとに「何を再吸収し、どのホルモンや薬が働くか」を一覧にしておけば全部さばける。
5分で振り返る
近位尿細管=グルコース・アミノ酸・重炭酸・水の大部分を再吸収。ヘンレのループ=対向流増幅系で髄質に浸透圧勾配をつくる(ループ利尿薬の作用部位)。遠位尿細管=アルドステロンがナトリウム再吸収とカリウム排泄を調節(サイアザイドの作用部位)。集合管=バソプレシンがアクアポリン2を介して水を再吸収(カリウム保持性利尿薬の作用部位)。バソプレシン不足=尿崩症(多尿・高Na)、過剰=SIADH(低Na)。
1分チェック
- バソプレシンの作用部位と作用は何か
- アルドステロンの作用部位と作用は何か
- ヘンレのループの役割は何か
- 尿崩症とSIADHはどう違うか
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