次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(75歳、男性)は妻(70歳)と2人で暮らしている。日中は本を読んで過ごすことが多い。2か月前からAさんは、椅子から立ち上がる時にバランスを崩すことや「寝室に女の子がいる」と言うことがあった。また、就寝後、夜間に大きな声で「おーい」と叫んで手を振る行動が継続してみられるようになった。心配になった妻がAさんと病院を受診し、初期のdementiawithLewybodiesLewy〈レビー〉小体型認知症と診断された。Aさんは要介護認定の申請をし、要支援1と認定された。
A さんに出現している症状はどれか。2 つ選べ。
公式正答:1・5
解説
初期のレビー小体型認知症と診断された患者に出現している症状を2つ選ぶ。幻視とレム睡眠行動障害である。
この問題で問われていること
事例に記述された行動を、疾患の中核症状に対応づけられるか。
しくみから理解する
レビー小体型認知症は、α-シヌクレインを主成分とするレビー小体が大脳皮質に広く出現する疾患である。中核的な特徴は、①具体的で繰り返される幻視、②認知機能の変動、③パーキンソニズム(動作緩慢、筋強剛、姿勢保持障害)、④レム睡眠行動障害である。設問では、「寝室に女の子がいる」という具体的な人物の幻視、夜間に大きな声で叫び手を振るというレム睡眠行動障害、そして椅子から立ち上がる時にバランスを崩すというパーキンソニズムが記述されている。選択肢のうち該当するのは幻視とレム睡眠行動障害である。
選択肢ごとの確認
事例に記述がない。あてもなく歩き回る行動は、アルツハイマー型など他の認知症で行動・心理症状として問題になることがあるが、この患者には示されていない。
道具の使い方や一連の動作の手順が分からなくなる症状で、アルツハイマー型認知症で問題になることが多い。事例に記述はない。
計画を立てて順序立てて実行する能力の障害で、多くの認知症でみられうるが、初期のこの患者について事例に具体的な記述はない。
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混同しやすいポイント
設問は『出現している症状』を問うており、疾患一般の症状ではなく、事例に書かれている症状を選ばせている。疾患の知識だけで答えると、レビー小体型でみられうる他の症状を選んでしまう。事例文の記述と選択肢を一つずつ照合する作業が必要である。
理解を深める
レビー小体型認知症では、抗精神病薬に対する過敏性が重要な注意点である。幻視や興奮に対して抗精神病薬を用いると、著しいパーキンソニズムの悪化、過鎮静、悪性症候群を起こすことがあるため、使用は慎重を要する。まず環境調整(見間違いのもとになる影や模様、暗がりを減らす、照明を工夫する)と、幻視を否定せず本人の体験として受け止める関わりを行う。認知機能の変動があるため、日によって、時間帯によってできることが変わる点も、家族に説明しておく必要がある。またパーキンソニズムと起立性低血圧、便秘といった自律神経症状により転倒のリスクが高い。レム睡眠行動障害では、本人と同室者が受傷しないよう、寝室の環境を整える(危険物を置かない、ベッドの高さ、寝具の配置)。
間違えやすい考え方
『2つ選べ』の複数選択で、事例に書かれた行動と選択肢の用語を対応させる。用語の意味(レム睡眠行動障害=夢の内容に沿って体が動く)を知らないと結びつけられない。
5分で振り返る
①レビー小体型認知症の中核症状=具体的な幻視・認知機能の変動・パーキンソニズム・レム睡眠行動障害。②抗精神病薬に過敏で悪化しやすい。③幻視は否定せず環境を調整する。④転倒リスクが高い(パーキンソニズム+起立性低血圧)。⑤アルツハイマー型は記憶障害が前景で徘徊・失行が問題になる。
1分チェック
- 夜間に叫んで手を振る行動は何か。→ レム睡眠行動障害。
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