次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(75歳、男性)は妻(70歳)と2人で暮らしている。日中は本を読んで過ごすことが多い。2か月前からAさんは、椅子から立ち上がる時にバランスを崩すことや「寝室に女の子がいる」と言うことがあった。また、就寝後、夜間に大きな声で「おーい」と叫んで手を振る行動が継続してみられるようになった。心配になった妻がAさんと病院を受診し、初期のdementiawithLewybodiesLewy〈レビー〉小体型認知症と診断された。Aさんは要介護認定の申請をし、要支援1と認定された。
診断から1 か月後の外来受診時に、A さんの妻から看護師に「夫は夜8 時くらい に入浴しますが、最近、入浴時にふらつくことがあるそうです。ふらついた時は壁 や浴槽の端に手をついてバランスをとっていると聞きました。夫が安全に入浴する にはどうすればよいか教えてほしいです」と相談があった。 看護師のA さんの妻への助言で適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
入浴時にふらつきがあるレビー小体型認知症の患者について、妻への助言を問う。浴室に手すりを付けることである。
この問題で問われていること
本人の残存能力を活かしながら、環境を整えて安全を確保できるか。
しくみから理解する
この患者は、ふらついたときに壁や浴槽の端に手をついてバランスをとっており、支えがあれば自分で対処できる状態にある。手すりを設置すれば、確実に握れる支持点が得られ、立ち上がり、またぎ動作、洗体時の姿勢保持が安定する。壁や浴槽の縁は濡れて滑るため、手をついてもすべる危険があるが、手すりは握れるため確実である。介助を増やすのではなく環境を整えることで、本人の自立を保ったまま安全を高められる。介護保険では、要支援1でも住宅改修費の支給対象となり、手すりの取付けは代表的な項目である。
選択肢ごとの確認
70歳の妻の負担を増やすうえ、本人ができていることを奪う。介助が必要な状態ではなく、環境調整で解決できる段階である。また濡れた浴室での介助は、介助者自身の転倒リスクも高い。
色のコントラストをつけることは、視覚的な認知を助ける工夫として有効な場面もある。ただしこの患者の問題は視覚的な識別ではなくバランスの保持であり、対応がずれている。またレビー小体型認知症では、床の模様や影を人や物と見誤る(錯視)ことがあり、マットの色や柄はむしろ慎重に選ぶ必要がある。
根拠がない。日中の長時間の睡眠は夜間の睡眠を妨げ、生活リズムを乱す。またレビー小体型認知症では覚醒レベルの変動があるが、入浴前の睡眠でふらつきが改善するという関係はない。
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混同しやすいポイント
設問文の『壁や浴槽の端に手をついてバランスをとっている』という記述が、答えの手がかりになっている。支持を求める行動が既に出ているのだから、確実な支持点を用意すればよい、という論理である。事例の具体的な記述を読み取ることが解法になる。
理解を深める
浴室は住宅内で転倒事故が多い場所である。濡れた床、段差、狭さ、裸であることによる保護の欠如、温度変化による血圧の変動が重なる。安全のための工夫としては、手すりの設置(縦手すりは立ち座り、横手すりは移動に有効)、滑り止めマット、シャワーチェア、浴槽用の椅子や台、段差の解消、脱衣所と浴室の暖房(ヒートショックの予防)がある。介護保険の住宅改修(手すりの取付け、段差の解消、床材の変更、扉の取替え、便器の取替え)は上限20万円まで、福祉用具購入(入浴補助用具を含む)は年間10万円までが支給対象となる。ケアマネジャーや福祉用具専門相談員、作業療法士と連携して選定する。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢が介助への切り替え、対応のずれ、根拠のない助言で構成されている。事例の記述と対応しているかで選ぶ。
5分で振り返る
①支持を求める行動があるなら確実な支持点(手すり)を用意する。②介助を増やす前に環境を整える。③浴室は転倒事故が多い(濡れ・段差・温度変化)。④介護保険の住宅改修は上限20万円、要支援でも利用できる。⑤レビー小体型では床の模様や影を見誤ることがある。⑥ヒートショック対策に脱衣所の暖房。
1分チェック
- ふらつくが手をついて対処できる人の入浴の安全策は何か。→ 手すりの設置(環境調整)。
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