次の文を読み、問いに答えよ。Aちゃん(1歳9か月)は両親と保育所に通う姉のBちゃん(3歳)と4人で暮らしている。Aちゃんは重症の仮死で出生し、cerebralpalsy脳性麻痺と診断されている。食事、排泄、更衣は全介助である。食事はきざみ食を摂取しており、浣腸によって2日に1回排便がある。Aちゃんは全身の筋緊張が強く、肘関節と手関節は屈曲し、両下肢が交差し伸展する姿勢が多い。声かけやタッチングで笑顔がみられるが、発語はない。Aちゃんは月2回の外来受診をしており、受診の際に母親が看護師に「Aは食欲がありますが、時々むせてしまいます。日中は機嫌よく過ごすことが多いのですが、手足を突っ張らせて背を反り返ることがあり、夜眠らないことが時々あります」と話している。
A ちゃんへの支援で優先度が高いのはどれか。
公式正答:2
解説
脳性麻痺で全身の筋緊張が強く、きざみ食で時々むせがある1歳9か月児への支援で優先度が高いものを問う。食事の形態の変更である。
この問題で問われていること
複数の課題がある事例で、生命に直結するものを見分けられるか。
しくみから理解する
この児は食事中に時々むせている。むせは、食塊が気道へ入りかけたときに起こる防御反応であり、誤嚥が生じている徴候である。誤嚥は誤嚥性肺炎につながり、重症心身障害児では最も多い死因の一つである。加えて、きざみ食は口腔内でばらけて食塊にまとまりにくく、嚥下障害のある児には適さない。筋緊張が強く姿勢の保持が難しいことも嚥下を困難にしている。したがって最優先は嚥下・栄養・呼吸状態の評価であり、その結果に基づいて食形態、粘度、一口量、姿勢を個別に決める。評価前にペースト食やとろみへ一律変更しない。
選択肢ごとの確認
重要ではあるが、事例に感染を繰り返している、あるいは感染対策が不十分であるという記述はない。誤嚥という具体的なリスクが示されている以上、そちらが優先される。
浣腸で2日に1回排便があり、一定の排便習慣は保たれている。改善の余地はあるが、緊急性は誤嚥に劣る。
夜眠らないことが時々あり、家族の負担にもなるため対応は必要だが、生命に直結する問題ではない。なお背を反り返る(後弓反張)は筋緊張の亢進によるもので、不快や痛みが背景にあることもあり、原因の評価は要る。
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混同しやすいポイント
『きざみ食は食べやすい』という思い込みが、この事例の見落としにつながる。きざみ食は咀嚼が困難な人向けであって、嚥下が困難な人にはむしろ危険である。むせという言葉が出てきたら誤嚥を疑い、食形態と姿勢を確認する、という反応を身につける。
理解を深める
重症心身障害児では、嚥下障害、胃食道逆流、呼吸障害、筋緊張の亢進、側弯、てんかん、便秘が相互に影響し合う。誤嚥リスクを下げるには、臨床・必要時の機器的嚥下評価に基づき、食形態、粘度、姿勢、一口量、ペース、覚醒状態を個別に調整する。頸部前屈やとろみを全員に固定しない。筋緊張が強いと姿勢が崩れやすいため、クッションや座位保持装置で安定させる。経口摂取が難しくなれば、経管栄養や胃瘻の導入を検討する。評価には嚥下造影検査が用いられる。日常では、発熱の繰り返し、体重増加不良、食事時間の延長、食後の湿性嗄声が誤嚥のサインになる。
間違えやすい考え方
優先度を問う型で、4肢すべてが取り組むべき課題である。『いま命に関わるのはどれか』という基準で選ぶ。事例文の『時々むせてしまいます』という一言が決め手になる。
5分で振り返る
①むせ=誤嚥の徴候、誤嚥性肺炎は重症心身障害児の主要な死因。②食形態と粘度は嚥下評価に基づいて選ぶ。③姿勢も個別評価し、体幹を安定させるが頸部前屈を一律に固定しない。④一口量とペースを調整する。⑤誤嚥のサインは発熱の反復・体重増加不良・食後の湿性嗄声。⑥後弓反張は筋緊張亢進、背景の不快を評価する。
1分チェック
- むせがある重症心身障害児で最優先の支援は何か。→ 食形態の変更(誤嚥の防止)。
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