次の文を読み、問いに答えよ。Aちゃん(1歳9か月)は両親と保育所に通う姉のBちゃん(3歳)と4人で暮らしている。Aちゃんは重症の仮死で出生し、cerebralpalsy脳性麻痺と診断されている。食事、排泄、更衣は全介助である。食事はきざみ食を摂取しており、浣腸によって2日に1回排便がある。Aちゃんは全身の筋緊張が強く、肘関節と手関節は屈曲し、両下肢が交差し伸展する姿勢が多い。声かけやタッチングで笑顔がみられるが、発語はない。Aちゃんは月2回の外来受診をしており、受診の際に母親が看護師に「Aは食欲がありますが、時々むせてしまいます。日中は機嫌よく過ごすことが多いのですが、手足を突っ張らせて背を反り返ることがあり、夜眠らないことが時々あります」と話している。
母親は外来看護師に「姉のB は最近、私に甘えて傍を離れません。A の世話でB に関わる時間が少ないので、短時間でもB とだけじっくり関われるようにしたい です」と話した。父親は会社員で夜の帰りが遅い。父親がB ちゃんを保育所へ送 り、母親がA ちゃんを連れて迎えに行く。両親は、A ちゃんの育児をできるだけ 在宅で行いたいと思っており、訪問看護を週1 回1 時間利用している。 このときの外来看護師の母親への返答で最も適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
障害児の姉(3歳)と2人だけで関わる時間をつくりたいという母親への助言を問う。訪問看護の時間を姉の迎えの時間に合わせられるか相談することである。
この問題で問われていること
家族全体を支援の対象と捉え、既に利用している資源を活かした提案ができるか。
しくみから理解する
この家庭は既に訪問看護を利用している。訪問看護師がAちゃんのケアにあたっている間、母親は手が空く。その時間を姉の迎えに充てられれば、往復と帰宅後のわずかな時間を、母親と姉が2人だけで過ごす時間にできる。新たなサービスを増やすのではなく、既存の資源の使い方を調整することで希望が実現でき、家族の負担も増えない。母親の『短時間でもBとだけじっくり関わりたい』という具体的な希望に、最も直接に応える提案になる。
選択肢ごとの確認
きょうだいへの説明は、発達段階に応じて必要な支援である。しかし3歳という年齢では理解に限りがあり、また母親の希望は『説明したい』ではなく『2人で関わる時間がほしい』である。希望と対応がずれている。
父親は会社員で夜の帰りが遅いと記述されており、迎えの時間に対応するのは難しい。また父親が迎えに行けば、母親と姉が2人で過ごす時間は生まれない。希望とは逆の結果になる。
姉を預けることになり、母親と姉が一緒に過ごす時間はかえって減る。ファミリーサポートは親の休息や用事の際には有用だが、この希望には合わない。
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混同しやすいポイント
母親の希望を正確に読むことが要点である。『Bとだけじっくり関わりたい』のだから、姉を預ける提案(誤肢3)も、父親に任せる提案(誤肢2)も、母親と姉の時間を生まない。誤肢はいずれも一般的には妥当な支援だが、この希望には応えていない。
理解を深める
障害や慢性疾患のある子どものきょうだい(sibling)は、親の関心が病児に集中することで、寂しさ、我慢、退行、身体症状、学業への影響といった反応を示すことがある。年齢に応じた説明、きょうだいだけの時間の確保、きょうだいの努力を認める言葉かけ、きょうだい支援プログラムやきょうだい会への参加が支援になる。この事例で姉が『甘えて傍を離れない』のは、退行的な行動として理解でき、母親自身がそれに気づいて相談している点は良い兆候である。家族支援では、病児だけでなく、きょうだい、親、祖父母を含む家族全体をシステムとして捉え、どこに負荷がかかっているかを見る視点が必要になる。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢が一般的に正しい支援で構成されている。母親の言葉のどこに応えるかで選ぶ。事例に書かれた父親の状況(帰りが遅い)も判断材料になる。
5分で振り返る
①既存の資源の使い方を調整する発想を持つ。②母親の希望は『姉と2人の時間』、預ける提案は逆効果。③父親は帰宅が遅く迎えに対応できない。④きょうだいは寂しさから退行を示すことがある。⑤支援は年齢に応じた説明・2人の時間・努力を認めること。⑥家族全体をシステムとして捉える。
1分チェック
- 母親と姉の2人の時間をつくるにはどうするか。→ 既に使っている訪問看護の時間を迎えの時間に合わせる。
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