次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(24歳、初妊婦、事務職)は妊娠8週であり、両親と3人で暮らしている。パートナー(24歳、大学院2年生)は就職が決まっており、Aさんと結婚する予定である。Aさんは「特に朝の気持ち悪さがつらくて、あまり食べられません。ご飯が炊き上がるにおいだけで吐き気がします」と話す。妊娠経過は順調である。
A さんへの食事指導で適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
妊娠8週でつわりのある妊婦への食事指導を問う。食べたいときに食べるよう伝えることである。
この問題で問われていること
つわりの時期の食事指導の原則を、栄養より水分と本人の受け入れやすさに置けるか。
しくみから理解する
つわりは妊娠5〜6週頃から始まり、12〜16週頃には多くが軽快する一過性の症状である。この時期の胎児は器官形成期にあるが体は非常に小さく、必要とする栄養量は多くない。したがって、栄養バランスを整えることより、食べられるものを食べられるときに摂り、脱水を防ぐことが優先される。においで誘発されることが多いため、においの少ないもの、冷たいもの、さっぱりしたものが受け入れられやすい。少量ずつ回数を分けて食べる、空腹を避ける(空腹で悪心が強まる)といった工夫も有効である。
選択肢ごとの確認
逆である。温めると湯気とともににおいが立ち、悪心を誘発しやすい。この妊婦も『ご飯が炊き上がるにおいだけで吐き気がします』と話しており、においが誘因であることが明確に示されている。冷ますか冷たいものを勧める。
逆である。空腹時には悪心が強まりやすい。朝の起床時に症状が強いのは、夜間の絶食で空腹になっているためでもある。枕元にクラッカーやビスケットを置き、起き上がる前に少し口にするといった工夫が勧められる。
つわりの時期にバランスを求めることは、食べられない妊婦に罪悪感と負担を与える。この時期は栄養より水分と本人が受け入れられることを優先する。栄養指導は症状が軽快してから行う。
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混同しやすいポイント
誤肢3つは、平常時の食事指導としては妥当な内容である。しかしつわりの時期には、においを避ける、空腹を避ける、栄養より受け入れやすさ、と原則が変わる。一般論をそのまま当てはめないことが要点で、事例文の『においだけで吐き気』という記述が判断材料になる。
理解を深める
つわりが重症化すると妊娠悪阻となる。5%以上の体重減少、脱水、電解質異常、ケトーシスを伴い、入院と輸液が必要になる。看護では、体重の推移、尿ケトン体、水分摂取量、嘔吐の回数、脱水の徴候を評価する。ビタミンB1が欠乏するとウェルニッケ脳症を起こしうるため、長期の嘔吐がある場合はブドウ糖輸液の前にビタミンB1を投与する必要がある。またつわりは身体症状であると同時に、妊娠の受容や生活の変化に対する心理的な負担とも関連する。妊娠を受け止めきれていない、生活の変化に戸惑っているといった背景がある場合には、気持ちの揺れに寄り添う関わりも並行して必要になる。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢が平常時には正しい助言で構成されている。事例文に書かれた誘因(におい)を読み取り、時期に応じた原則へ切り替える。
5分で振り返る
①つわりは5〜6週から始まり12〜16週で軽快。②この時期は栄養より水分と受け入れやすさを優先。③においが誘因になるため温めない、冷たくさっぱりしたものを。④空腹で悪心が強まるので少量頻回に。⑤重症化すると妊娠悪阻(体重減少・脱水・ケトーシス)。⑥ビタミンB1欠乏によるウェルニッケ脳症に注意。
1分チェック
- つわりの時期の食事指導の基本は何か。→ 食べられるときに食べられるものを(栄養より水分)。
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