次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(24歳、初妊婦、事務職)は妊娠8週であり、両親と3人で暮らしている。パートナー(24歳、大学院2年生)は就職が決まっており、Aさんと結婚する予定である。Aさんは「特に朝の気持ち悪さがつらくて、あまり食べられません。ご飯が炊き上がるにおいだけで吐き気がします」と話す。妊娠経過は順調である。
A さんは「妊娠することは考えていなかったので、自分の体にどんなことが起こ るのか想像もつきません」と話した。看護師は、次の妊婦健康診査までに生じやす い変化について説明することにした。 A さんに説明する内容で適切なのはどれか。
公式正答:1
解説
妊娠8週の妊婦に、次の妊婦健康診査までに生じやすい変化として説明する内容を問う。便秘である。
この問題で問われていること
妊娠に伴う身体の変化を、時期ごとに整理できているか。
しくみから理解する
妊娠が成立すると黄体および胎盤からプロゲステロンが分泌され、これが平滑筋を弛緩させる。腸管の平滑筋も影響を受けて蠕動が低下し、あわせて水分の再吸収が増えるため便が硬くなる。この作用は妊娠初期から働くため、便秘は妊娠初期から生じやすい代表的なマイナートラブルである。つわりで食事量と水分摂取が減っていることも便秘を助長する。次の健診までの数週間で生じうる変化として説明する内容として適切である。
選択肢ごとの確認
腹圧性尿失禁は、妊娠後期に増大した子宮が膀胱を圧迫し、骨盤底筋群に負荷がかかることで生じやすい。妊娠初期の主要な変化ではない。なお初期には子宮の増大による膀胱刺激で頻尿が生じることはある。
増大した子宮によって重心が前方へ移動し、腰椎の前弯が強まることで生じる。子宮が大きくなる妊娠中期以降の症状である。
いわゆるこむら返りで、妊娠後期に多い。増大した子宮による下肢の循環障害、カルシウム・マグネシウムの需要増加、体重増加による筋の負担が背景にある。
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混同しやすいポイント
マイナートラブルを時期で整理する。初期はつわり、便秘、頻尿、眠気、乳房の緊満。中期は腰背部痛、便秘の持続、静脈瘤の始まり。後期は腰背部痛の増強、下肢のけいれん、静脈瘤、浮腫、頻尿、腹圧性尿失禁、息切れ、胸やけ、不眠。子宮の大きさと関連するものは後になる、と考えると導きやすい。
理解を深める
妊娠中の便秘への対応は、食物繊維と水分の摂取、規則的な排便習慣、適度な運動が基本になる。つわりで食事が摂れない時期は無理をせず、症状が軽快してから整える。市販の下剤を自己判断で使わないよう伝え、必要な場合は医師に相談する(酸化マグネシウムなど妊娠中に使用できる薬剤がある)。刺激性下剤は子宮収縮を招く可能性があるため慎重に用いる。また便秘は痔核の悪化にもつながる。マイナートラブルは『異常ではない』が『つらくない』わけではないため、症状を軽視せず、対処法を具体的に伝えることが支援になる。予告して説明しておくと、実際に起きたときに不安が小さくなる。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢がいずれも妊娠中に生じるトラブルである。設問の『次の健診までに』という時期の限定を読み、妊娠初期に起こるものを選ぶ。
5分で振り返る
①プロゲステロンが平滑筋を弛緩させ腸蠕動が低下→便秘。②初期=つわり・便秘・頻尿・眠気・乳房緊満。③中期以降=腰背部痛。④後期=下肢けいれん・静脈瘤・浮腫・尿漏れ・胸やけ。⑤子宮の増大に関連するものは後期に多い。⑥下剤の自己判断使用は避ける。
1分チェック
- 妊娠初期から生じやすいマイナートラブルは何か。→ 便秘(プロゲステロンによる腸蠕動の低下)。
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