次の文を読み、問いに答えよ。Aさん(24歳、初妊婦、事務職)は妊娠8週であり、両親と3人で暮らしている。パートナー(24歳、大学院2年生)は就職が決まっており、Aさんと結婚する予定である。Aさんは「特に朝の気持ち悪さがつらくて、あまり食べられません。ご飯が炊き上がるにおいだけで吐き気がします」と話す。妊娠経過は順調である。
A さんの妊娠経過は順調で、妊娠38 週3 日に正常分娩で出産した。産褥経過と 乳汁分泌は順調である。産褥4 日の退院指導の際に「産後の性生活について教えて ほしい」と話す。 A さんへの説明で適切なのはどれか。
公式正答:4
解説
産褥4日で産後の性生活について尋ねた褥婦への説明を問う。産後1か月の健診までは性交渉を避けるよう伝えることである。
この問題で問われていること
産褥期の身体の回復過程を踏まえた指導ができるか。
しくみから理解する
産褥期には、胎盤剝離面の創傷治癒、子宮の復古、会陰の裂傷や切開創の治癒が進行する。子宮内膜が完全に再生するのは産後4〜6週頃で、それまで子宮口は完全には閉じておらず、腟内も細菌が侵入しやすい状態にある。この時期に性交渉を行うと、子宮内感染や創部の損傷を招く危険がある。したがって、産後1か月健診で子宮復古と創部の治癒を確認し、医師の許可を得てから再開するよう説明するのが標準的な指導になる。
選択肢ごとの確認
避妊は必要である。産後の性生活の再開にあたっては、次の妊娠までの間隔を適切に保つこと(一般に18〜24か月以上が望ましいとされる)と、感染予防の両面からコンドームの使用が勧められる。
産後は排卵の再開時期が不定で、基礎体温は授乳による覚醒や育児による睡眠の分断で安定して測定できない。基礎体温法は産後の避妊法として信頼性が低い。
誤りである。産後の最初の排卵は、月経の再開より前に起こることが多い。したがって月経がまだないうちに妊娠する可能性がある。授乳中は排卵が抑制されやすいが、確実な避妊法ではない。
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混同しやすいポイント
『月経がないから妊娠しない』という誤解が最も広く、かつ実害が大きい。排卵が先、月経が後、という順序を押さえる。授乳性無月経を避妊法として用いる考え方(LAM)は、完全母乳、産後6か月未満、無月経という3条件をすべて満たす場合に限られ、一般的な避妊法として勧めるものではない。
理解を深める
産後の避妊法としては、コンドーム、子宮内避妊具(産後6週以降に挿入可能)、経口避妊薬(授乳中は血栓リスクと乳汁分泌への影響から、産後一定期間はプロゲスチン単剤が選ばれる)などがある。授乳の有無、本人と パートナーの希望、次子の計画を踏まえて情報提供する。また産後の性生活では、疲労、睡眠不足、会陰部の疼痛、腟の乾燥(エストロゲン低下による)、ボディイメージの変化、育児への集中などから、意欲や快適さが変わることが多い。これは正常な変化であることを伝え、パートナーとの話し合いを促すことも支援になる。産後1か月健診では、子宮復古、悪露、創部、乳房、血圧、心理状態(EPDSなど)を確認する。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢が避妊に関する誤解で構成されている。身体の回復過程(子宮内膜の再生に4〜6週)を根拠に時期を説明できるかで決まる。
5分で振り返る
①子宮内膜の再生は産後4〜6週、それまで感染のリスクがある。②1か月健診で復古と創部の治癒を確認してから再開。③産後の初回排卵は月経再開より前に起こる。④月経がなくても妊娠しうる。⑤基礎体温法は産後には不向き。⑥次の妊娠までの間隔は18〜24か月以上が望ましい。
1分チェック
- 産後、性交渉はいつから再開してよいか。→ 産後1か月健診で確認してから。
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