次の文を読み、問いに答えよ。午前9時、震度6強の大地震が発生した。発災直後、A病院では傷病者への対応として救急病棟に8床確保した。その応援のために各部署から看護師3名、医師2名、臨床工学技士1名、臨床検査技師1名、理学療法士1名が救急病棟に集まった。救急病棟のリーダー看護師は他部署から集まったスタッフとカンファレンスを行った。
リーダー看護師が指揮する内容で適切なのはどれか。
公式正答:3
解説
震災直後に各部署から集まった多職種チームで、リーダー看護師が指揮する内容を問う。臨床工学技士に医療機器の動作確認を依頼することである。
この問題で問われていること
災害時であっても、各職種の専門性と法的な業務範囲を踏まえた指示ができるか。
しくみから理解する
臨床工学技士は、生命維持管理装置の操作と保守点検を業務とする国家資格である。地震の後は、人工呼吸器、輸液ポンプ、除細動器、モニターなどの医療機器が、揺れや停電、非常電源への切り替えの影響を受けている可能性がある。これらの動作確認は臨床工学技士の専門性そのものであり、依頼として最も適切である。災害時は限られた人員で多数の傷病者に対応するため、各職種の専門性を活かして役割を分担することが、効率と安全の両方を高める。
選択肢ごとの確認
採血は医師、看護師、臨床検査技師等が行う行為であり、理学療法士の業務範囲ではない。災害時であっても、法的に認められていない行為を依頼することはできない。理学療法士には、移動の介助、体位の管理、搬送の補助といった専門性を活かせる役割を依頼する。
輸液の実施は医師の指示に基づく診療の補助である。災害時でも医師の指示が必要で、自己判断での実施は認められない。多数傷病者に対応するため、あらかじめ包括的な指示を医師から得ておくといった仕組みで対応する。
混乱した状況ではむしろ患者誤認が起こりやすく、本人確認は省略できない。災害時は身元不明者も生じるため、識別番号やトリアージタッグによる管理を併用しながら、確認の手順は維持する。
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混同しやすいポイント
『緊急時だから普段の原則は緩められる』という誤解が誤肢2・4の狙いである。災害時であっても、業務範囲と患者確認は守られる。むしろ混乱時こそ、確認の手順が事故を防ぐ。変えるべきは手順の質ではなく、資源配分と優先順位の付け方である。
理解を深める
災害時の院内対応では、災害対策本部の設置、指揮命令系統の明確化、職員の参集、被害状況と稼働可能な資源の把握、入院患者の安全確認、外来と手術の中止・継続の判断、多数傷病者の受け入れ準備が並行して進む。CSCATTT(Command and Control:指揮と統制、Safety:安全、Communication:情報伝達、Assessment:評価、Triage:トリアージ、Treatment:治療、Transport:搬送)という枠組みが用いられ、最初の3つが体制づくり、次のAが評価、後半のTTTが医療の実践にあたる。多職種が集まったチームでは、まず誰が指揮を執るかを明確にし、各自の職種と可能な業務を確認してから役割を割り振ることが、混乱を防ぐ第一歩になる。
間違えやすい考え方
『適切なのはどれか』型で、誤肢が業務範囲の逸脱、指示なしの実施、安全確認の省略で構成されている。災害時でも変わらない原則を持っていれば選べる。
5分で振り返る
①臨床工学技士=生命維持管理装置の操作と保守点検。②理学療法士に採血は依頼できない(業務範囲外)。③輸液は災害時も医師の指示が必要。④混乱時こそ患者確認は省略しない。⑤枠組みはCSCATTT(指揮・安全・情報・評価・トリアージ・治療・搬送)。⑥まず指揮者を明確にし職種を確認してから割り振る。
1分チェック
- 災害時のチームで臨床工学技士に依頼することは何か。→ 医療機器の動作確認。
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