次の文を読み、問いに答えよ。午前9時、震度6強の大地震が発生した。発災直後、A病院では傷病者への対応として救急病棟に8床確保した。その応援のために各部署から看護師3名、医師2名、臨床工学技士1名、臨床検査技師1名、理学療法士1名が救急病棟に集まった。救急病棟のリーダー看護師は他部署から集まったスタッフとカンファレンスを行った。
発災1 時間後、町内の避難所に救護所が開設され、A 病院から応援の看護師が 派遣された。救護所には簡易ベッド、処置台、医療資材、ホワイトボードが設置さ れている。数十分後には救護所に多数の傷病者が来ることを想定し準備を行った。 救護所の看護師が行う準備で優先されるのはどれか。
公式正答:5
解説
多数の傷病者の来所が想定される救護所で、看護師が行う準備の優先を問う。トリアージ別に傷病者が待機する区域を確保することである。
この問題で問われていること
多数傷病者への対応で、限られた資源を最大限に活かす仕組みを理解しているか。
しくみから理解する
多数の傷病者が同時に発生する状況では、一人ひとりに順に対応していては、治療すれば助かる重症者を救えない。そこで、緊急度と重症度によって傷病者を区分し、治療の優先順位を決めるトリアージを行う。トリアージが機能するには、区分ごとに傷病者を集める場所(赤:最優先治療群、黄:待機的治療群、緑:保留群、黒:死亡群または救命困難群)があらかじめ確保されている必要がある。区域がなければ、区分しても傷病者が混在し、優先順位に沿った治療も、状態変化の把握もできない。数十分後に多数が来ると想定される段階で最も優先される準備である。
選択肢ごとの確認
平常時に行っておくべき管理である。多数傷病者の到着が迫っている場面で、限られた時間をここに使うのは優先度が低い。
必要な検討だが、より上位の指揮系統や派遣元との調整で行うことであり、数十分後に迫る受け入れの準備としては優先されない。
災害時の救護活動では、緊急避難的に必要な処置を行う。定型的な同意書の作成に時間を費やすことは適切でない。可能な範囲で説明と同意を得るが、書式の準備が優先事項にはならない。
搬送先の調整には必要な情報であり、後の段階で重要になる。ただし目前の受け入れ体制(どこに誰を置くか)が整っていなければ、そもそも搬送の優先順位も決められない。
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混同しやすいポイント
『どれも必要な準備』の中から、いま数十分後に必要になるものを選ぶ。トリアージは概念だけでは機能せず、区分に対応した物理的な空間が要る、という実務的な理解が問われている。ホワイトボードが設置されているという記述も、区域と傷病者の管理を示唆している。
理解を深める
トリアージには、多数の傷病者を短時間でふるい分ける一次トリアージ(START法:歩行の可否、呼吸、循環、意識の順に評価し、1人30秒程度で判定)と、より詳細に評価する二次トリアージ(PAT法)がある。判定結果はトリアージタッグに記入し、原則として右手首に装着する。トリアージは一度きりではなく、状態は変化するため繰り返し行う。区域は、動線を考えて配置し、赤は治療スペースに近く、緑は別の場所にまとめるといった工夫をする。緑の傷病者が多数を占めるため、この人たちが治療スペースに滞留しないようにすることが、赤・黄への対応を確保する鍵になる。
間違えやすい考え方
優先度を問う型で、5肢すべてが災害医療に関わる項目である。時間軸(数十分後に多数が来る)を読み、その時点で必要なものを選ぶ。
5分で振り返る
①トリアージ=緊急度と重症度で治療の優先順位を決める。②区分は赤(最優先)・黄(待機)・緑(保留)・黒(死亡/救命困難)。③区分に対応した区域がないとトリアージは機能しない。④一次トリアージはSTART法、1人30秒程度。⑤タッグは原則右手首。⑥状態は変化するため繰り返し実施する。
1分チェック
- 多数傷病者を受け入れる前に最優先で準備することは何か。→ トリアージ区分別の待機区域の確保。
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