成人の口腔内吸引で正しいのはどれか。
公式正答:3
解説
成人の口腔内吸引で正しいものを問う。挿入時は吸引圧をかけない。
この問題で問われていること
吸引の手順と、それぞれの根拠(粘膜損傷と低酸素の防止)を理解しているか。
しくみから理解する
カテーテルを挿入する間に陰圧をかけたままにすると、粘膜が吸い付いて損傷し、出血や疼痛の原因になる。また不要な時間だけ空気と酸素を吸い出すことになる。そのため挿入時は吸引圧を止め、目的の位置に達してからカテーテルをゆっくり回しながら引き抜きつつ吸引する。1回の吸引時間は10〜15秒以内にとどめる。長すぎると気道内の空気とともに酸素が奪われ、低酸素血症や不整脈、迷走神経反射による徐脈を招く。吸引圧の目安は成人で20〜26kPa(約150〜200mmHg)程度である。
選択肢ごとの確認
口腔内は常在菌が存在する不潔域であり、清潔操作でよい。無菌操作が求められるのは気管内吸引である。口腔と気管でカテーテルを使い分け、口腔用のものを気管へ入れないことが重要である。
長すぎる。1回10〜15秒以内が原則で、25秒以上では低酸素血症のリスクが高い。長く吸うのではなく、必要なら間隔をあけて繰り返す。
高すぎる。100kPaは約750mmHgに相当し、粘膜損傷や無気肺を招く。成人の目安は20〜26kPa程度である。
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混同しやすいポイント
口腔内吸引と気管内吸引の混同が最も多い。無菌操作、カテーテルのサイズ、挿入の長さ、実施前の酸素化がいずれも異なる。また『しっかり吸い取ろう』として時間を延ばしたり圧を上げたりする発想が、そのまま誤肢になっている点に注意する。
理解を深める
吸引はあくまで対症的な手技であり、実施前には吸引が本当に必要かを判断する。副雑音の聴取、SpO2の低下、努力呼吸、分泌物の貯留音、患者の訴えなどが指標となる。定時ではなく必要時に行うのが原則である。実施前後にはSpO2、呼吸状態、顔色を観察し、気管内吸引では実施前に酸素化を行う。分泌物の性状・量・色は感染や病態の情報になるため記録する。粘稠な分泌物には、加湿や体位ドレナージ、水分摂取といった吸引以外の方法を組み合わせることが有効である。
間違えやすい考え方
『正しいのはどれか』型で、誤肢が『無菌操作』『長く』『強く』と、いかにも丁寧・確実そうな方向に作られている。手技の目的(分泌物を除く)と害(粘膜損傷・低酸素)の両方を意識していないと引っかかる。
5分で振り返る
①挿入時は陰圧をかけない、引き抜きながら吸引。②1回10〜15秒以内。③吸引圧は成人20〜26kPa程度。④口腔内は清潔操作、気管内は無菌操作。⑤定時ではなく必要時に実施。⑥前後にSpO2と呼吸状態を観察。
1分チェック
- 口腔内吸引で挿入時はどうするか。→ 吸引圧をかけない。
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